コラム 「 とかちの窓から 」Column

第10回 『夜更かししナイ(4)便秘とニキビについて2』
(2005年6月16日配信)

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 6月も中旬となり、早いもので今年も折り返し地点です。先日のサッカーW杯予選で日本代表が本戦出場を決めたのは久々に明るいニュースでした。何かと国際競争力の衰えを指摘される日本ですが、メダルラッシュに湧いた去年のオリンピックといい、選択と集中を戦略的に進めた部門では底力を感じます。厳しい時代ですが、私達もこれを見習って前向きに頑張って行きたいものですね。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々ですが、このコラムが皆様のニキビ改善のちょっとしたヒントになれば幸いです。また、全国的に梅雨入りですが、エアコンの効いたオフィスなどでは空気は乾燥しておりますので、お肌の保湿や体調に十分注意して下さい。

 とかち美白研究所では、VCローションを購入されている方に会報を毎月発行しております。そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4ナイ)』というものを載せています。(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

  • (1)爪を切っていじらナイ
  • (2)髪の毛で隠さナイ
  • (3)夜更かししナイ
  • (4)乾燥させナイ
 

これは私が皮膚科診療を15年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

   

 前回は、『夜更かししナイ(4)~便秘とニキビについて1~』と題して、便秘がニキビの悪化原因の一つであり、便秘を解消する前段階として『排便ネットワーク』の理解が必要であることをお話しさせていただきました。今回は、生活習慣面での便秘解消の具体策をお示ししたいと思います。

 前回の復習をしましょう。まず、(A)『便』のできるまでを簡単に追いましょう。

(A)『便』のできるまで

  • (1) 口から入った食物は食道を通過します。
  • (2) 胃から小腸を通過していく過程で糖分、たんぱく質、脂質、ミネラル類が体内に消化吸収されます。(これら消化吸収が終わったものが『便』です。)
  • (3)『便』は小腸の出口(盲腸部)までは多くの『水分』を含んでいますが、その『水分』は大腸で吸収されて『便』となります。
  • (4)(正常の場合)
    新しい『便』はまだ『水分』を含むため柔らかく、スムーズに排便されます。
  • (5)(便秘の場合)
    『便』が大腸に長く居座り、『水分』が更に何度も吸収されるため硬くなり、腸内を通過しにくく、排便しづらくなります。

 次に、消化・吸収・排便のメカニズムの裏にある、大脳を含めた多くの神経回路の伝達が必要とされる(B)『排便ネットワーク』について復習しましょう。

(B)『排便ネットワーク』

  • (1) 食物は食道を通過して胃に入り『入荷しました!』という刺激を伝えます。
  • (2) その刺激で腸が動き出し、食物は消化されて『便』となり、胃、十二指腸、小腸を経て、大腸、更にその先の直腸へ『便』を送りだします。
  • (3)『便』が直腸に達するとその刺激は、骨盤神経を経て脊髄を通り、小脳の近くの橋という部分にある『排便中枢』に達します。
  • (4)更に刺激は『大脳』の皮質知覚野に達し『便意』を感じることになります。
  • (5)『便意』を感じると、人は状況によりトイレに入り『排便』の準備をします。
  • (6)便座に座り、呼吸を止め、『横隔膜と腹筋群』を働かせて、腹圧を上昇させます。
  • (7)直腸の内部が一定以上の圧力になると反射的に直腸が収縮し、肛門括約筋が緩み、めでたく『排便』となります。

 便秘がちの方の生活習慣には、いくつかの問題点があると思われます。今回は以下の3つに的を絞って、対策も交えながらお話させていただきます。

(i)朝食抜きの食生活 ーーー(B)『排便ネットワーク』主に(1)の障害

 これはネットワークをスタートさせるスイッチが入らないことを意味します。朝食抜きでは、空腹が続いた後に現れる胃への刺激が起きません。『入荷指令』が来なくては、胃腸が本来の仕事をすることができなくなります。
(対策)朝食は必須の条件といえましょう。朝食には、食物繊維の多い、大豆類、イモ類、緑黄色野菜、海藻類、玄米がお勧めです。食物繊維は、便のカサを増やして腸を内側から刺激し、腸の蠕動運動を高めます。ヨーグルトに代表される善玉菌を増やす食品は腸内の環境を改善します。乳酸菌を含んだサプリメントや善玉菌の餌になるオリゴ糖も同じ作用を持ちます。また、よく冷たい水を飲むと良いと言いますが、暖かい飲み物の方が胃腸に負担にならないようです。朝食ではコーヒー・紅茶・緑茶・ホットミルクなどお好みに合わせて多めに飲むのも良い方法と思われます。

(ii)間食 ーーー (B)『排便ネットワーク』主に(1)の障害
 これもネットワークのスタート部分に問題を起こします。間食は、常に胃の中に物がある事になり、次に食べ物が入ってきた時の反応を鈍くします。先日、ある会社の経営者の方とお話した際に聞いた話ですが、「最近の若い女性社員はいつもお菓子を食べている。食生活は朝食抜き。日本人の将来が心配です。」と真顔で語っておられました。よくテレビで肥満傾向のある人が、「私は水を飲んでも太ります。」とやっていますが、これも実際には間食が多く、水も炭酸飲料だったりします。また、間食される方はその回数も多く、常に何かを口に入れている方が多いようです。ご注意を。

(対策)(i)とも関係しますが、間食はできるだけ控え(せいぜい1回)、お茶などの水分補給程度に抑えた方が良いと思います。職場の人間関係もあると思いますが、間食するにしても食物繊維を強化したビスケットや野菜ジュースにするなど工夫してみてはいかがでしょうか? 朝・昼・夕の三食を規則正しく取ることがやはり重要です。

(iii)便意の我慢 ーーー (B)『排便ネットワーク』主に(3)~(5)の障害

 便意を我慢することはよくありません。直腸に便が長く居座り、同じ刺激を受け続けると、ネットワークの働きが鈍り、便があることを感じなくなります。つまり排便中枢が感知しなくなり、信号が大脳(皮質知覚野)に行かないことになってしまいます。また、(A)『便』のできるまで(5)(便秘の場合)に示した通り、『便』が大腸に長く居座ることになり、『水分』が更に吸収されるため硬くなり、腸内を通過しにくく、排便しづらくなる悪循環にもつながります。

(対策)日中は仕事が忙しく便意を我慢せざるを得ない方も多いと思います。朝早起き(第8回のコラム参照)して自宅でトイレタイムをゆったりとることはできないでしょうか? 時間をうまくずらすことにより、家族と同居されている方でも、余裕あるトイレタイムを確保することができるはずです。また、自分の会社に30分早めに出勤してトイレを済ますというのも良い方法と思います。更に、通勤途中に自分だけのトイレ空間を確保するのはどうでしょうか? 例えばシティーホテルのトイレは清潔で数が複数あるのでゆったりと使えますし、ちょっと値は張りますが朝食も済ますこともできます。その他、公共施設の中にも朝早くから営業しているものがあり穴場です。徒歩5~10分圏内を目安にちょっと調査してみてはいかがでしょうか? 但し、最低限のマナーは必要ですね。

 今週のポイントはこんなところでしょうか?

『ニキビが良くならない方は便秘がちな方が多いです。便秘はニキビや肌荒ればかりでなく、頭痛、めまい、肩こりなどの体の不調、更には、動脈硬化、ガンや肥満の原因にもなる万病のもとです。生活面では、(1)朝食を毎日とる。(2)間食を避ける。(3)便意を我慢しないで済むように自分でトイレタイムを作り出す。以上の3点が重要です。朝食は繊維質の多いものを心がけ、善玉菌を増やすヨーグルト、暖かい飲み物をとり腸の活動にスイッチを入れましょう。間食はしても1回。朝食に準じた内容のものを少量のみ。トイレタイムは自宅では早起き、早朝出勤でゆったり確保。シティーホテルなどのトイレもお勧めですよ。』

 次回は、便秘に関して、生活面以外の原因で重要なこと(骨盤と腸との関係や『横隔膜と腹筋群』の強化)について説明してみたいと思います。それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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