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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2005年8月18日配信)

第12回『ニキビと抗生物質について』

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 お盆も終わりましたが、残暑厳しい折、少しバテ気味の方も多いのではないでしょうか? 気が早いと言われるかもしれませんが、今年も3分の1を残すのみとなりました。勉強にお仕事に気分を一新してがんばりましょう。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々ですが、このコラムが皆様のニキビ改善のちょっとしたヒントになれば幸いです。気分はまだ夏ですが、エアコンの効いたオフィスなどでは空気は乾燥しておりますので、お肌の保湿や体調に十分注意して下さい。

 とかち美白研究所では、VCローションを購入されている方に会報を毎月発行しております。そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4ナイ)』というものを載せています。(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

  • (1)爪を切っていじらナイ
  • (2)髪の毛で隠さナイ
  • (3)夜更かししナイ
  • (4)乾燥させナイ
 

これは私が皮膚科診療を15年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 今回は、管理人様より御要望があった『ニキビと抗生物質について』について説明させていただきます。しかしながら、私自身が北海道の田舎の一開業医でありますので、あまりアップツーデートなお話をすることはできませんし、診療スタイルの違いがあり大変偏りがある内容となってしまっていることをあらかじめお断りいたします。

私が院長を勤める『とかち皮膚科』でニキビ治療で行っているのは全て保険診療です。『とかち美白研究所』でVCローションの販売も行っておりますが、これは希望者のみで、基本的には敢えて購入を勧めることはしておりません。

 ニキビの保険診療はできることが限られておりますが、抗生物質やビタミン剤の内服、外用剤の併用により症状の改善を比較的安価に行うことができます。私の個人的なスタンスとしては、

  • (1) ニキビを保険診療の範囲内で、症状によっては抗生物質などの薬剤を積極的に使用してある程度改善させる。
  • (2) その間に診察を通じて症状を見ながらアドバイスをしつつ、患者さんご自身で生活習慣等を見直していただき、薬剤の使用量を抑えていく。
  • (3)必要があれば御希望に応じてVCローションなどをご使用いただく。

以上を基本としています。

 『ニキビ』と『抗生物質がターゲットとするニキビ菌』との関係をまずチェックしましょう。

  • (1) 皮膚の毛穴(毛包)にはニキビ菌とよばれる細菌が常在しています(常在菌)。これは皮膚の中性脂肪を主な栄養源としています。
  • (2) ニキビ菌にはリパーゼという酵素があり、中性脂肪を分解して脂肪酸を作ります。この脂肪酸が炎症を引き起こし、脂腺の発達した脂腺性毛包にニキビが生じます。
  • (3)ニキビの炎症が強くなると、ニキビ菌だけでなく、ブドウ球菌などの他の細菌も増えてきます。これらが入りまじって膿疱や固いしこりなどを作ります。強い炎症は瘢痕を残しニキビ跡となります。

 ニキビの抗生物質には上記の
(1)、(2)のニキビ菌の働きを主にブロックするもの…………(A)
(3)のブドウ球菌など他の菌の働きを主にブロックするもの……(B)
の大別して(A)(B)2つの抗生物質があります。

(A)(1)テトラサイクリン系抗生物質:ミノサイクリン(ミノマイシン)・ドキシサイクリン(ビブラマイシン)など

 まず、保険適応のある抗生物質の代表である『ミノサイクリン』ですが、これは有効な薬剤と考えています。ニキビの炎症のもととなるニキビ菌の増殖を抑えニキビ菌の出す酵素を抑える目的があります。薬の値段も安いです。
《副作用について》
 副作用として有名なのはめまいやカンジダ症です。めまいは最初感じることが多いですが服用を続けるに従い気にならなくなることも多いようです。カンジダ症は数カ月の長期に渡って内服した場合によく女性で認められ、婦人科の先生によく指摘されます。
 また、忘れていけないのが肝機能障害です。止むを得ず長期に渡る服用となる場合は定期的な血液検査が不可欠です。

(A)(2)マクロライド系抗生物質:クラリスロマイシン(クラリス、クラリッシッド)、ルリッドなど

 効果が高く、副作用が少ないという声も聞きますが、個人的には使用していません。値段の割に効果が少なく、重篤な副作用を経験したことがあります。
 但し、この仲間のジスロマックという薬は皮膚の比較的深い部分の感染症に有効と考え使用しています。

(B)(1)セフェム系抗生物質:セフゾン、フロモックスなど

 安全性が比較的高く、抗菌力も強いため効果が期待できます。但し耐性菌があり、種類によっては効果がないものも多く認められます。薬の値段も手頃です。肝機能障害、胃腸障害が副作用としてあげられます。

(B)(2)キノロン系抗生物質:クラビッド、ガチフロなど

 抗菌力が非常に強いため効果が期待できます。但し耐性菌があり、種類によっては効果がないものも多く認められます。また、薬の値段が高いので処方は短期にします。頭痛、眠気などの中枢神経系の副作用、光線過敏、消炎鎮痛剤との併用時に痙攣が起きることがあり注意が必要です。

『ニキビ治療の抗生物質の理想的な服用』とはどんなものでしょうか?
 私が考えていることは以下の通りです。

  • (1) 症状の悪化している時には抗生物質を服用する。その際には抗生物質の種類・効果・副作用を十分考慮に入れた上で短期間服用する。また、外用剤、ビタミン剤、漢方薬など各種治療法を組み合わせていく。
  • (2) 止むを得ず長期に渡る服用となる場合は、診察に加え定期的な血液検査を行う。
  • (3)症状が改善している間に、診察を通じて症状を見ながらアドバイスをしつつ、『4ナイ』を参考に、患者さんご自身で生活習慣等を見直していただき、薬剤の使用量を抑える。必要があればVCローション等の治療も加える。
  • (4)症状が安定してきたら、抗生物質の服用はできるだけ控え、様々な重要なイベント(例:面接、結婚式、旅行など)があるときに限り服用する。

 それから、ひとつお願いしたいことがあります。抗生物質による治療に非常に嫌悪感を持ち、良くないと一方的に決めつけないで頂きたいということです。上記のように適切に行えば安価で有効な治療となることをご理解いただきたいのです。

 世の中には保険診療しか選択できない人も多いですし、現行の保険診療も今後現在の3割負担での継続は難しくなるのは確実です。更に踏み込むと『ニキビ』は軽症医療との判断から、保険診療からはずれてしまう可能性もあるのです。
 『前に皮膚科では1500円で塗り薬や飲み薬をもらえたけど、5000円ではもういけない。』という時代がくるかも知れません。また、その時には各種税金控除がなくなり、消費税も15%にアップし、実際の手取りが3割以上ダウンしている可能性も否定できません。

 一皮膚科医としては、上記の『ニキビ治療の抗生物質の理想的な服用』を肝に銘じて実行していきたいと考えています。

今週のポイントはこんなところでしょうか?

 『ニキビ治療では抗生物質による治療は有効な手段です。保険診療では比較的安価に改善することができます。
 但し、症状が改善している間に、「4ナイ」を参考に、自身で生活習慣等を見直し、服用量を減らします。症状が安定してきたら、面接や結婚式など重要なイベントがあるときに限り服用するのが理想ですね。
 止むを得ず服用が長期となる場合は、定期的な血液検査が必要ですよ。』

 次回は、4ナイの最後『乾燥させナイ』について説明してみたいと思います。それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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