コラム 「 とかちの窓から 」Column

第14回 『乾燥させナイ(2)』
(2005年10月24日配信)

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 先日学会で札幌に行ってきました。医学書を購入しようと『丸善』に立ち寄った所、10月16日で閉店というお知らせを見て驚きました。『丸善』では学生時代より医学書や書籍をよく購入していましたが、本当に残念です。札幌はJR駅前の周辺に様々な商業施設が集中し、昔賑わっていた南一条~大通周辺は寂しくなってきています。

 最近テレビで札幌の空きビルを埋める不動産会社を取り上げた番組が放送されていました。そこで取り上げられていた潰れた洋食のお店は、何度も足を運んだことのあるおいしいお店でした。

 『丸善』はサッポロビール工場の跡地にできるショッピングセンターに移転し、洋食のお店は焼き鳥チェーンのお店に衣替えするのだそうです。なくなるものがあれば新しく生まれるものがあります。時代は厳しいですが、前向きに頑張っていきたいものですね。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々ですが、このコラムが皆様のニキビ改善のちょっとしたヒントになれば幸いです。朝晩は徐々に冷え込み秋の装いですが、お肌の保湿や体調に十分注意して下さい。

 とかち美白研究所では、VCローションを購入されている方に会報を毎月発行しております。そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4ナイ)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

  • (1)爪を切っていじらナイ
  • (2)髪の毛で隠さナイ
  • (3)夜更かししナイ
  • (4)乾燥させナイ
 

これは私が皮膚科診療を15年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 前回からは、(4)乾燥させナイ と題して、『なぜ肌が乾燥するとニキビが悪化するのか?』について説明させていただいています。

 ここでポイントとなることは以下の2つです。

  • (A) 『皮脂』の分泌を適切に保つ
  • (B) 『角質層』がバリア機能、保湿機能を十分に果たせる状態を作り出す

 前回は主に(A)について『ニキビの原因の一つが皮脂の過剰分泌であり、ホルモンバランスの崩れに注意し、肌を守る皮脂を取り過ぎていないかチェックすることが重要。』とお話しさせていただきました。今回は(B)『角質層の機能』について考えたいと思います。

 思春期のニキビは主として『皮脂』の過剰な分泌が問題になるのに対して、大人のニキビはむしろ『角質層の機能低下』に原因があることが多いことが指摘されています。

 ここでもう一度皮膚の構造について復習してから、本題に入りましょう。

 皮膚は一番外側から(i)表皮(ii)真皮(iii)皮下組織の3層から構成されますが、ニキビで問題となるのは(i)表皮です。
(http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec18/ch201/ch201b.htmlを参考にして下さい。)
 表皮は、バリアー機能の最前線で、主に表皮を構成する(a)皮脂膜と(b)角質層の働きによって保たれます。また、(c)天然保湿因子、(d)角質細胞間脂質も重要です。

  • (a)皮脂膜:皮脂腺から分泌される『皮脂』と汗が混ざり合ってできた天然の保護膜で、角質層の水分の蒸発を防ぎます。
  • (b)角質層:角質細胞が何層にも重なり合って、防御膜の役割をしています。この角質細胞は実際は死んでいる細胞で、ターンオーバーにより約4週間で生まれ変わっています。このターンオーバーが順調に機能することによりキメの整ったしっとりした肌が維持されます。
  • (c)天然保湿因子(NMF):NaturalMoisturizingFactorともいわれ、角質層の中にあり、水になじみやすく水分を保持する水溶性のアミノ酸、塩類のことです。水分をつかまえて離しません。
  • (d)角質細胞間脂質:角質細胞と角質細胞のすき間をうめている脂のことで、細胞同士をつなぎ止める働きをしています。角質細胞の水分の蒸発を防ぎます。

ちょっと難しく長くなりますので、Q&A式で進めていきます。

Q1.『角質層』がバリア機能、保湿機能を十分に果たせる状態を作り出すとはどういうことでしょうか?

 上の(b)で示した通り、角質層を構成する角質細胞は実際は死んでいる細胞で、ターンオーバーにより約4週間で生まれ変わります。このターンオーバーが円滑に進むようにすることが重要なのです。円滑なターンオーバーにより、肌表面には新たな角質細胞が供給され、天然保湿因子や角質細胞間脂質が角質層に満たされます。その相乗効果により角質層はバリア機能、保湿機能を十分に果たせる状態となり、しっとりとした透明感があるくすみのないお肌が出来上がる訳です。

Q2.『角質層の機能』とニキビとの間には具体的にどのような関係があるのでしょうか?

 皮脂腺の出口が狭まったり、塞がってしまうとニキビが出来ます。角質層のターンオーバーがうまく行かないと、古い角質がはがれ落ちないで残るため角質層が厚くなります。その結果、皮脂腺の出口が狭くなりニキビが出来てしまいます。更に、天然保湿因子や角質細胞間脂質が角質層に満たされなくなるため肌が乾燥し、ターンオーバーが更に進まなくなる悪循環になります。

Q3.ではどのような方法が『角質層の機能』を良好に保ち、ニキビ改善につながるのでしょうか?

 主として思春期のニキビでは洗顔料でていねいに顔を洗い、肌を清潔に保つことが大切です。

 大人のニキビは、それだけでは不十分です。大人の場合は、空調の効いた乾燥したオフィスで長時間働くことが多くなります。女性はお化粧が必要ですが、長時間働く必要から化粧崩れしにくいカバー力の高い化粧品を使用することが多くなります。これらは全て、肌の乾燥を招き、角質層の順調なターンオーバーの障害となります。

 そのため『角質層の機能を維持するスキンケア』が更に必要になります。

 ここで重要なのが以下の2つです。

  • (1) 余分な皮脂やメイクアップ化粧品の汚れ、古い角質を積極的に取り除きターンオーバーを促す。
  • (2) 健康な角質層、つまり角質細胞がきちんと規則的に並び、角質層のバリア機能、保湿機能を十分に果たせる状態を作りだす。

そのためには、 (1)に対しては(A)十分な洗顔、(2)に対しては(B)水分補給を中心とした保湿ケアが大事です。
(保湿ケアの詳細については、次回でお話させていただきます。)

Q4.大人のニキビに対する(A)十分な洗顔 とはどのようなものでしょうか?

 以下にポイントを示します。

(イ)自分の肌質に合った洗顔料を選びましょう。

 洗顔をしっかりとすることは非常に大事です。しかし、洗顔料自体が肌への刺激やお肌の水分・油分不足を招くことがあります。自分の肌質に合ったものを選ぶことが必要です。

(ロ)洗顔料を使う時はお肌にやさしく使いましょう。

 顔に洗顔料を直接こすりつけたり、汚れを落とそうと無理に肌をこすったりするのは厳禁です。洗顔料は手のひらに適量を取り泡立ててから、その泡で肌をつつみこむようにやさしく洗いましょう。

(ハ)クレンジングはお肌に刺激を与えないよう、十分洗い流しましょう。

 クレンジング料を使用する場合は、拭き取るタイプは摩擦などで肌に過剰な刺激を与えないように注意します。クレンジング料自体が肌に残るとニキビを作る原因にもなります。洗い残しのないように水・ぬるま湯などで十分に洗い流すことが大切です。

今回のポイントはこんなところでしょうか?

『大人のニキビでは「角質層の機能低下」に原因があることが多いです。角質層を構成する角質細胞は、ターンオーバーにより約4週間で生まれ変わります。きちんとした洗顔法をマスターし、余分な皮脂やメイクアップ化粧品の汚れ、古い角質を積極的に取り除き、ターンオーバーを促すことが大変重要です。』

 次回で、水分補給を中心とした保湿ケアについて説明させていただき、1年の長きに渡って連載させていただいた『4ナイ』の〆としたいと思います。それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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