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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2006年3月12日配信)

第19回 『4ナイ落ち穂拾いー漢方治療について(1)』

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 ちょっと前のことですが、12月の初旬に「とかち皮膚科について雑誌で取り上げさせてもらえませんか?」という電話をいただきました。最初は広告がらみの怪しい(失礼!)取材かと思いましたが、担当の方が「ネットで調べていただければご理解いただけると思います。掲載等は一切無料です。」とおっしゃるので検索したところ、単に私が知らないだけできちんとした医療関係の雑誌でした。同じ出版社の雑誌は読んだこともありました。(担当の ○林 様 大変失礼いたしました。)

 取材は快諾し、診療所の外観の写真は、プロの方がわざわざ出張して撮影していただけました。そして、2月初旬に掲載誌が送られてきました。

 表題は『すぐに頼れる! 医師・病院特集 皮膚の病気 50人の名医! 256件の優良病院』という仰々しいタイトルで、何と『とかち皮膚科』も256件の中に入っていました。取り上げられていた先生は私も知っている有名な先生ばかりで、私のような田舎の一開業医が同列に扱われるのはお恥ずかしい限りです。

 とかち美白研究所では、VCローションを購入されている方に会報を毎月発行しております。そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4ナイ)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

  • (1)爪を切っていじらナイ
  • (2)髪の毛で隠さナイ
  • (3)夜更かししナイ
  • (4)乾燥させナイ
 

これは私が皮膚科診療を15年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、昨年まで『ニキビ治療の4ヶ条(4ナイ)』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『4ナイ落ち穂拾い』と題して、『4ナイ』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。本題に入る前に、ジャン・フランソワ・ミレー(1814ー1875)の名画『落ち穂拾い』(1857年)オルセー美術館所蔵をご覧下さい。
http://www1.megaegg.ne.jp/~summy/gallery/glaneuses.html

 『4ナイ』にはありませんが、ニキビの治療法として重要なものがあったとしたら、それを見過ごすことはできません。

 漢方治療は、保険適応のあるニキビ治療の方法の一つとして重要なものです。今回からは2回に渡って漢方治療について説明したいと思います。まず今回は総論的なことについて説明し、次回は代表的な漢方薬の使用法について説明させていただきます。

 ニキビの漢方治療というと読者の皆さんはどのようなイメージをもつでしょうか?「何か効きそう。」「ちょっと怪しい感じがする。香港のツアーでは高い漢方薬を買わされて騙された。」等々、受け取り方は様々だと思います。

 私は『漢方治療は全てのニキビには有効ではないものの、炎症性のニキビには有効な治療法の一つ。』と考えています。

 使用法は抗生物質などの西洋薬と併用される場合もありますが、私は主に単独で使用しています。膿疱や赤みのある丘疹を伴う炎症性のニキビに特に効果があります。但し、面疱を伴う非炎症性のニキビには効果はあまり期待はできません。
(膿疱:ウミをもった小さな水疱状の皮疹
 丘疹:小さな盛上がったプツプツ状の皮疹
 面疱:コメド。毛穴の皮脂が残って酸化し、頑固に残っている状態。)

 

 漢方薬を投与する方法には2種類あります。1つは西洋医学的所見に基づく病名投与で、簡単な話『ニキビだからこれかな?』という感じで適当に漢方薬を選ぶ方法です。(但し、これにはある程度以上の経験と薬の処方経験が必要です。)

 もう一つは、随証投与といって、虚実・陰陽による証の判断に委ねる方法です。詳しくいうと、顔ののぼせ、便秘、下腹部症状などの種々の症状を目安として、それに合った漢方薬を選ぶ方法です。

 私は、両方の方法を総合的に判断して、臨機応変に対応しています。

 ニキビの場合、効果がある患者さんでは、早い人で1ヶ月程で効果が出てきます。よく効いている時は、証もあっているためか、ニキビばかりか体の不快感が軽くなることも多いです。

 代表的な漢方薬としては、清上防風湯、荊芥連翹湯、桂枝茯苓丸、十味敗毒湯、当帰芍薬散などがありますが、実際の使用法は次回で解説させていただきます。 (難しい漢字が並んでいますが、次回は読みがなつきで説明します。)

 今回のポイントは以下の通りです。

  • 【今回の4ナイ落ち穂拾い】 「落ち穂 その4」
  • 【ニキビの漢方治療】
  • ■ニキビには抗生剤などによる西洋医学的な治療法の他に、東洋医学的な治療法の漢方治療があります。
  • ■膿疱や赤みのある丘疹を伴う炎症性のニキビに特に効果があります。
  • ■面疱を伴う非炎症性のニキビには効果はあまり期待できません。
  • ■有効な患者さんでは、早い人では1ヶ月程で効果がでます。
  • ■よく効いている時は、ニキビばかりか体の不快感が軽くなることもあります。

 日も少しづつ長くなり、暖かくなってきましたね。これを機会に朝の散歩を始めてみてはどうでしょうか? 適度の運動は、お通じをよくして、ニキビの改善にも効果がありますよ。

 それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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