コラム 「 とかちの窓から 」Column

第20回 『4ナイ落ち穂拾いー漢方治療について(2)』
(2006年4月14日配信)

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 最近使い出したものにiPodnanoがあります。以前から使用していた携帯用のラジオ付き小型カセットプレイヤー(古い!)が壊れ、その後携帯用DVDプレイヤーなども使用していたのですが、出張先までCDやDVDなどを持っていくのが重荷になっていたためです。

 iPodnanoを使用しての感想は、『軽くて簡単。何でもっと早く使わなかったのだろう?』の一言に尽きます。今では昔の洋楽CDからJ-POP、モーツアルトまで適当に入れて、主として出張先で楽しんでいます。

 『人間は保守的な生き物で、大きな強制力がなければ、そのままで安住しようとする。』以前読んだ本にあった言葉ですが、痛感しました。新しいものを進んで取り入れていく。厳しい時代を生きていくためには不可欠なことですね。

 とかち美白研究所では、VCローションを購入されている方に会報を毎月発行しております。そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4ナイ)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

  • (1)爪を切っていじらナイ
  • (2)髪の毛で隠さナイ
  • (3)夜更かししナイ
  • (4)乾燥させナイ
 

これは私が皮膚科診療を15年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、昨年まで『ニキビ治療の4ヶ条(4ナイ)』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『4ナイ落ち穂拾い』と題して、『4ナイ』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。
 本題に入る前に、ジャン・フランソワ・ミレー(1814ー1875)の名画『落ち穂拾い』(1857年)オルセー美術館所蔵をご覧下さい。
http://www1.megaegg.ne.jp/~summy/gallery/glaneuses.html

 『4ナイ』にはありませんが、ニキビの治療法として重要なものがあったとしたら、それを見過ごすことはできません。

 漢方治療は、保険適応のあるニキビ治療の方法の一つとして重要なものです。前回は総論的なことについて簡単に説明させていただきました。今回は代表的な漢方薬の使用法について解説させていただきます。

 代表的な漢方薬としては

  • (1)清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
  • (2)荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
  • (3)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • (4)十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
  • (5)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などがあります。

 ここでは使い慣れている(1)~(3)について、主に取り上げさせていただきます。投与の目安等について以下に示します。

(1)清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
(体力)強め傾向
(症状)顔面の赤みが目立つ、患部の化膿がある、頭重感、顔ののぼせ、目の充血
 この漢方薬は、もともとニキビの症状が目立つ患者さんが多いだけに効果があるかないかは、はっきりと早めに出ることが多いように思います。

(2)荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
(体力)中間から強め傾向
(症状)皮膚は浅黒く色素沈着しやすい傾向がある、患部の化膿がある、顔色が悪い、掌や足の裏に汗をかきやすい
 この漢方薬は、じわりじわりと効果が出てくることが多いように思います。また、ニキビの症状改善の他に『体が軽くなりました。』とか『顔色が良くなったねと言われるようになりました。』と患者さんに言われることもあります。

(3)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
(体力)中間から強め傾向
(症状)生理不順、頭重、下腹部圧痛
 この漢方薬は、お血(おけつ)[血液やリンパ液が停滞して起こる諸種の病的状態]のニキビを主な対象とします。ニキビの症状改善の他に『お腹が張らなくなってきたみたいです。』とか『生理が遅れなくなってきました。』など、女性特有の症状が改善して喜ばれることが多いです。

(4)十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
(体力)中間から強め傾向
(症状)患部の化膿傾向が強い

(5)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
(体力)虚弱傾向
(症状)貧血傾向、冷え性、生理不順

 以上、簡単に解説してみましたが、漢方は万能ではありませんし、個人差が非常に大きい薬だと思います。

 また、同じ漢方薬と思っても、エキス剤などに製剤化するにあたって、メーカーによって微妙な差があり、乳糖やデンプンが加わることにより人によっては全く受け付けなくなってしまうことがあるようです。

 しかし、私は『漢方治療は全てのニキビには有効ではないものの、炎症性のニキビには有効な治療法の一つ。』と考えています。根気良く、何種類かを試すことも必要だと思います。

 今回のポイントは以下の通りです。

 

【今回の4ナイ落ち穂拾い】 「落ち穂 その5」

【ニキビの漢方治療 2】【代表的な漢方薬の使用法】

  • ■ (1)清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
    (体力)強め(症状)顔面の赤みが目立つ人
    有効な場合、はっきりと早めに効果が出ます。
  • ■ (2)荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
    (体力)中間から強め
    (症状)皮膚は浅黒く色素沈着しやすい人
    有効な場合、じわりじわりと効果が出ます。
  • ■ (3)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
    (体力)中間から強め
    (症状)生理不順、頭重、下腹部圧痛のある人
    有効な場合、女性特有の症状も改善することがあります。
  • ■ (4)十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
    (体力)中間から強め(症状)患部の化膿傾向が強い人
  • ■ (5)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
    (体力)虚弱(症状)貧血傾向、冷え性、生理不順の人
  • ■ 漢方は万能ではありません。個人差も非常に大きいです。
  • ■ 炎症性のニキビには有効な治療法の一つです。

 気付いたらもう4月も半ば。もう少しでゴールデンウイークですね。ゴールデンウイークを十分楽しむためにも、今の内に計画を立てて頑張っておきましょう。日の出も早くなってきましたから、朝型に切り替えるのも良いかも知れませんね。

 それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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