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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2008年4月22日配信)

第44回 『ニキビと玄米食について(1)』

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 この間、診療後に何気なく地元のローカルテレビを見ていたら、妙に肌がつやつやな坊主頭の男子中学生が映っていました。
 地方活性化策の発表会での一コマでしたが、どこかで見た顔だなーと思って更によく見ると、患者のA君でした。

 A君は、額のニキビがなかなかよくなりませんでした。いつも、お父さんと一緒に受診され、無言のプレッシャーが加わるため、私としては、特に気を遣っていました。
 標準的な保険診療しか出来ませんでしたが、ニキビを髪の毛で隠していたため、これが悪化原因の一つと考え、

   『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』
   (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。

を念頭に、『まず、髪の毛をあげて下さい。』とアドバイスしました。

 坊主頭にした頃から少し改善してきてはいましたが、本当に改善してきたのは、野菜ジュースを毎日飲むように指導してからです。
(野菜ジュースについては、第39回のコラムを参考にして下さい。)
 飲むようになって、1ヶ月頃からみるみる良くなってきていましたが、これ程良くなるとは思ってもみませんでした。

 会場のスポットライトを浴びた、A君のつるんとしたニキビのない額は光り輝き、A君の自信にあふれた発表は、会場から大きな拍手を集めていました。
 皮膚科医冥利に尽きる、出来事でした。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

 これは私が皮膚科診療を17年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 本題に入る前に、ジャン・フランソワ・ミレー(1814ー1875)の名画『落ち穂拾い』(1857年)オルセー美術館所蔵をご覧下さい。
http://www1.megaegg.ne.jp/~summy/gallery/glaneuses.html

 今回は、『4決め!』の中の
   (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
と関連して、第39回のコラムでも一部触れましたが、私自身も一部取り入れている、玄米食について考えてみたいと思います。

 いろいろ調べていると、玄米食というのは慎重に考えることが必要だなと思うようになりました。無知ほど恐ろしいことはありませんね。
 まず、基本となることからはじめましょう。『玄米』って何でしょうか?

 『米』は、稲という植物の種です。この種は実った状態ではもみ殻という殻に包まれています。このもみ殻の部分を外したのが『玄米』です。
 『玄米』から果皮、種皮、糊粉(こふん)層など『ぬか』と呼ばれる部分を取り除いたのが『胚芽米』です。そこからさらに胚芽まで取り除き胚乳だけにしたものが『白米』です。

 また、『発芽玄米』というものもあります。これは、『玄米』をほんの少し発芽させたもので、発芽させることにより各種の栄養素が増大するとされています。
 私が、一部取り入れているのは、この『発芽玄米』です。

 『玄米』には、以下に示すようなメリット・デメリットがあります。

『玄米』のメリット

1.ビタミン、鉄分、各種ミネラルを多く含む。
2.『ぬか』に含まれるフィチン酸には抗ガン作用がある。
3.フィチン酸の強力な排泄作用により、様々な有害物質が体外に排出される。
4.栄養吸収率が白米と比べて低いため、体重減少がみられ、それに伴い、体調が改善されることがある
。  (玄米食での栄養吸収率は90%で、白米は98%)

『玄米』のデメリット

1.食感が悪い。白米と比べて硬く、独特の臭いがある。
2.異物が混入したり、玄米皮(ヌカ)に農薬が残留している可能性がある。
(通常の精米ではこの部分を取り除いて出荷されるため、残留農薬は皆無に等しくなるとのことです。)
3.フィチン酸の強力な排泄作用により、体内に必要なミネラルも排出されてしまう。

 玄米の『ぬか」には、フィチン酸という強力な排泄作用を持つ物質が多くあり、様々な有害物質を体外に排出してくれます。
 しかし、同時に体内に必要なミネラルも排出してしまうので、注意が必要です。(#)
 (#)ちょっと詳しい補足

 ヌカ部分に含まれているフィチン酸は、ミネラル(鉄・カルシウム・マグネシウム・亜鉛など)と結合してフィチン酸塩を作ります。フィチン酸と結合したミネラルは水に溶けないため、腸からの吸収が阻害されます。
 従って、貧血予防の為に玄米食をされている方は、逆効果になり、玄米食のみの場合、他に副采をバランスよく取らなければ、貧血を起こしやすくなる可能性があります。
 特に妊娠されている方は、注意が必要です。

 また、食物アレルギーのある方も要注意です。アレルゲンになるグロブリンなどのタンパク質は、米の表面に多く存在するため、食物アレルギーのある方は、玄米食を避けた方が良いようです。
 米グロブリンはイネ科に共通のアレルゲンなので、ヒエ、アワ、キビなどにも同時に反応することがあります。

 それでは、私も一部取り入れている『発芽玄米』は、どうでしょうか?

 『発芽玄米』は、1998年に信州大学農学部が民間会社との共同開発に着手し、含有される多くの成分と各種の効果が話題になり、爆発的ヒットとなっているそうです。
 この『発芽玄米』は、玄米の豊富な栄養素に加え、発芽させるエネルギーが、新たな機能成分を生み出すと言われています。これは、酵素が活発化する事で生み出されるようです。

 『発芽玄米』には、以下に示すようなメリット・デメリットがあります。

『発芽玄米』のメリット

1)γアミノ酪酸(ギャバ)が、発芽させる事で大幅に増え、白米の5倍、玄米の3倍含まれる。  γアミノ酪酸(ギャバ)は、血圧降下、神経の沈静作用の他、中性脂肪の低下作用があるそうです。また、肝臓の働きを活発化する他、利尿作用を促す事で、過剰な塩分を体外に出すなど、大変注目されている栄養素です。

2)フィチン酸がフィターゼという酵素の働きで、ミネラルとの結合がとれ、ミネラルと、フィチン酸の体内での吸収率が飛躍的に高まる。

3)ブドウ糖の代謝促進や体組織・カルシウム吸収を促す、リジンが白米の4倍、玄米の2倍含まれる

4)体を作り、筋肉アップ、更には新陳代謝を促す働きの、遊離アミノ酸が白米の4.5倍、玄米の2.5倍含まれる

5)発芽させる事で、植物繊維の含有量が、玄米より、10%から15%増える

6)アルツハイマー型痴呆症の原因である、PEPの異常増殖を防ぐ物質「PEP阻害物質」が、発芽するときに生成される。

7)白米に混ぜて食べるので、食べやすく、また玄米の外皮も発芽する事で柔らかくなり、玄米のようにパサパサしなく、食べやすく、甘味も増しておいしい。

8)発芽玄米のコメ・アレルゲン蛋白含有量が、白米や玄米に比べ、著しく少ない。低インシュリンダイエットとしてもよい。
(民間会社が名古屋大学栄養専門学校、名古屋大学大学院農学研究科、日本大学生命資源科学部と行った共同研究で判明。)

9)血中コレステロール低カ作用が確認されている。(第35回日本成人病学会等で発表)

10)アトピー性皮膚炎治療の現場で、発芽玄米を難治性アトピー性皮膚炎の食事療法に導入する事で、紅斑などの症状が改善(第4回日本補完、代替医療学会にて報告)

『発芽玄米』のデメリット

1)玄米自体に、残留農薬が残っている可能性がある。
 有機JASマークがついた、完全無農薬の有機栽培米か、低農薬栽培のものが望まれます。

2)雑菌が繁殖する可能性がある。
 玄米自体は、雑菌を多く含みます。発芽玄米は、玄米を20度から30度の温水に1,2晩漬け、胚芽からわずかに芽が出た状態です。
 この環境では、雑菌(セレウス菌、黄色ブドウ球菌など)の繁殖が活発になります。
 さらには、食中毒の原因となる耐熱性芽胞菌も含まれる可能性が大きく、注意する必要があります。

3)白米では問題の無い、精選(異物、着色米、砕米の除去)が、発芽玄米の場合、湿り気を帯びているため、不可能です。(玄米時の精選だけでは不完全とのことです。)

4)玄米・白米などと比べて高価な場合が多い。

 結論からいうと、『発芽玄米』に軍配があがりそうですね。

 次回で自身の経験についてお話しさせていただきたいと思いますが、個人的には、『発芽玄米』はお勧めです。

 現在、私は、朝のみ『発芽玄米』の食事を実践しています。

 その他のことにも気をつけていることもあってか、体重はベストを維持できるようになりました。

 更にこの冬を過ぎて実感できたことですが、体の皮膚がすべすべしてきました。(昨年までは、冬は保湿剤を必要とすることが多かったのですが、今年はあまり使用しないで済みました。)

 顔は、自身で開発しているコスメ等でケアしているため、問題はなく、秘かに考えていた、年齢不詳化計画が更に前進してきた感じです。

 年齢不詳化計画?何ですか?と読者の皆さんは思われると思いますが—。それは次回のお楽しみということで。  また、次回でお話しいたしますが、ニキビに対しても効果的との報告もあります。

 今回のポイントは以下の通りです。

 

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その28」

【『ニキビと玄米食について(1)』】

  • •『玄米』には、メリットとデメリットがあり、全面的には賛成できません。
  • •『発芽玄米』は、メリットがデメリットを上回り、お勧めです。
  • •個人的には、ベスト体重の維持や美肌効果が得られています。
  • •ニキビにも効果的との報告があります。(詳細は次回で)

 もうすぐ大型連休ですね。

 まとまってお休みを取れる時期は、旅行も良いですけど、自分の足元をみつめる良い機会ですね。
 部屋の掃除や整理にはもってこいですね。

 また、『発芽玄米』を試してみるのもよいかも知れません。それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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