コラム 「 とかちの窓から 」Column

第63回 『尋常性ざ瘡治療ガイドライン ~漢方薬について~』
(2009年11月20日配信)

こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 10月の連休に、学会で京都に行ってきました。1泊だけ、滞在時間15時間余りの駆け足の旅でした。

 帰り際、市内の中心部を初めて1時間程歩きました。
 そこで気づいたことは、本当におしゃれで洗練された人が多いこと。喫茶店やパン屋さんも多くて、和洋折衷のとってもいい感じでした。

 京都というと、寺社仏閣のイメージが強いですが、実際には学生さんが多く、おしゃれな街なのですね。
 世の中、自分で体験しないとわからないことは多いですね。

 ニキビの治療も同じこと。ちょっと気になる治療法を試したり、生活習慣を少し見直すことで、大きな効果が得られることも。
 一歩チャレンジすることは大切ですね。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

 これは私が皮膚科診療を19年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 皮膚科医がニキビの治療、特に保険診療を行っていく上での指針となる「尋常性ざ瘡治療ガイドライン」が、2008年秋に日本皮膚科学会誌上で発表されました。 (詳しくはhttp://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/pdf/118101893j.pdf

 前回は、ガイドラインの『推奨度A(強く推奨する)の治療』のうち、ディフェリンゲル、ダラシンTゲル、アクアチムの外用3剤の併用治療についてお話させていただきました。

 推奨度は、以下のように分類されます。(簡略化しています。)

推奨度の分類

A行うよう強く推奨する
B行うよう推奨する
C1良質な根拠は少ないが,選択肢の一つとして推奨する
C2十分な根拠がないので(現時点では)推奨できない
D行わないよう推奨する

 推奨度Aは、ニキビ治療に特に推奨できると、日本皮膚科学会がお墨付きを与えたものと考えられます。

 今回は、漢方薬について取り上げたいと思います。
 漢方薬については、第19回と20回のコラムでも取り上げています。参考にして下さい。

 ガイドラインでは、漢方薬を用いた漢方療法はC1、C2と少し低めの評価です。
 でも、実際の所はどうでしょうか? 漢方療法はニキビの重要な治療法の一つ。自身の経験を踏まえて、お話しさせていただきます。

 その前に、登場する漢方薬の読み方を順に示します。

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
温清飲(うんせいいん)
温経湯(うんけいとう)

 漢方療法について、ガイドラインでは、イ)面皰 と ロ)炎症性皮疹 の2つに分けて、評価しています。

イ)ニキビ(面皰)に漢方療法は有効か?

 他の治療が無効、あるいは他の治療が実施できない状況では、荊芥連翹湯を 選択肢の一つとして推奨する(C1)
 黄連解毒湯、十味敗毒湯、桂枝茯苓丸については、行ってもよいが推奨はしない(C2)

ロ)ニキビ(炎症性皮疹)に漢方療法は有効か?

 他の治療が無効、あるいは他の治療が実施できない状況では、荊芥連翹湯、清上防風湯、十味敗毒湯を選択肢の一つとして推奨する(C1)
 黄連解毒湯、温清飲、温経湯、桂枝茯苓丸については、行ってもよいが推奨はしない(C2)

 私は、荊芥連翹湯、清上防風湯については、十数年の使用経験があります。

 イ)の面皰については、荊芥連翹湯が確かに有効だと思います。ディフェリンゲルの登場で影が薄くなってきていますが、面皰に対して有力な薬剤です。

 ロ)の炎症性皮疹については、荊芥連翹湯、清上防風湯は有効です。清上防風湯がより効果的と思います。

 桂枝茯苓丸については、個人差が大きいようです。

 ガイドラインの評価は、まさしくその通りだと思います。納得です。
 漢方療法は、抗菌剤の内服や塗り薬で無効という患者さんには、良い方法ですね。

 さて、ここで一つ、気になる漢方薬が。
 ロ)の炎症性皮疹について、(C1)として挙げられている『十味敗毒湯』です。
 最近、皮膚科医の間で、話題の漢方薬です。私も処方してみた所、これがなかなかの優れものでした。

 全くの個人的見解ですが、2008年のニキビ治療大賞が、『ディフェリンゲル』とすれば、2009年のニキビ治療大賞は、『十味敗毒湯』でしょう。
 レコード大賞や紅白歌合戦と同様、今年のトリは『十味敗毒湯』で決まりです。

 という訳で、次回12月のコラムでは、『十味敗毒湯』についてお話しさせていただきます。

 今回のポイントは以下の通りです。

 

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その47」

『尋常性ざ瘡治療ガイドライン~漢方薬について~』

 
  • •皮膚科医がニキビの治療、特に保険診療を行っていく上での指針となる「尋常性ざ瘡治療ガイドライン」が、2008年秋に日本皮膚科学会誌上で発表されました。
  •  
  • •治療方法により以下の推奨度が示されています。

    A 行うよう強く推奨する
    B 行うよう推奨する
    C1 良質な根拠は少ないが,
       選択肢の一つとして推奨する
    C2 十分な根拠がないので
       (現時点では)推奨できない
    D 行わないよう推奨する
  •  
  • •ガイドラインでは、漢方療法はC1、C2と少し低めの評価です。
  •   
  • •ガイドラインでは、漢方療法について、イ)面皰 と ロ)炎症性皮疹 の2つに分けて、評価しています。
  •  
  • •イ)ニキビ(面皰)に漢方療法は有効か?
     荊芥連翹湯を 選択肢の一つとして推奨する(C1)
     黄連解毒湯、十味敗毒湯、桂枝茯苓丸については、行ってもよいが推奨はしない(C2)
  •  
  • •ロ)ニキビ(炎症性皮疹)に漢方療法は有効か?
     荊芥連翹湯、清上防風湯、十味敗毒湯を選択肢の一つとして推奨する(C1)
     黄連解毒湯、温清飲、温経湯、桂枝茯苓丸については、行ってもよいが推奨はしない(C2)
  •  
  • •漢方療法は、抗菌剤の内服や塗り薬で無効という患者さんには、良い方法です。
  •  
  • •『十味敗毒湯』は、皮膚科医の間で話題の漢方薬です。私も有効性を実感しています。次回で取り上げます。
 

今年の冬は寒そうですね。(第42回のコラムでも書いた通り、地球寒冷化説が信憑性を増してきているような感じがしますね。)
 この間、ユニクロでヒートテックものを購入してみました。確かに暖かい。ユニクロはすごいですね。
 新しい変化を少しでも取り入れて前向きに行きたいものです。

それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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