コラム 「 とかちの窓から 」Column

第75回 『こう考えると幸せに~ニキビ上手について~』
(2010年11月20日配信)

こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 先日、学会で倉敷へ行ってきました。飛行機を乗り継ぐ、一泊二日の強行日程でした。
 学会会場、ホテルのすぐそばに有名な『大原美術館』があり、1時間弱の駆け足で、十数年振りに美術鑑賞をしました。
 モネやゴーギャン、ルノワールなど、美術に疎い私でも知っている有名な画家の作品が数多くあり、地方都市でこの規模の美術館は本当に素晴らしいと思いました。

 その中で、私が気になった作品が一つありました。『ジャコメッティ』という彫刻家が制作した、『ヴェニスの女I』というブロンズ像です。
 針金のように極端に細く、長く引き伸ばされた彫刻で、一切の無駄をそぎ落としたような作品でした。非常に迫力があり、大変印象に残りました。
 観賞後、どこかでみたことがある作風だなと思い検索してみると、今年の初めに美術品としてオークション史上最高額(94億円!)を記録した芸術家の作品でした。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2690704/5274243を参照下さい。)

 『大原美術館』では、『ジャコメッティ』の作品は、特別な扱いを受けることなく、今回の再評価は妥当なところで、昔からそこにあるのが自然という感じで展示されていました。

 そうそう、本物は折に触れて何度も再評価されるもの。ニキビの治療も同じです。
 以前、効果を実感でき、良い治療法だなと思ったものを、再開してみてはどうでしょうか? 既に結果がでているだけに、再チャレンジすると更に良い結果が得られることも多いはず。

 ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。
 このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、自分自身が一歩でも前に進むつもりで、
毎月お届けさせていただいています。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

 これは私が皮膚科診療を20年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 前回は、引き続き『サプリメント』、特にビタミンA、Eと『サプリメントの問題点』を取り上げてみました。今回は、ニキビ改善のための新しい考え方、『ニキビ上手』について考えたいと思います。

 今年の4月、本屋さんの店頭でふと手にした本が、渡辺淳一先生の『幸せ上手』(講談社)でした。渡辺先生は私の出身大学の大先輩で、たびたびこのコラムでも取り上げさせていただいています。

 何もかもが大きく変わっていく今の世にあって「幸せ」とは、いったいなんでしょう。何が「自分にとって」の幸せなのでしょうか。このことを疎かにしていては、幸せな人生など、おぼつかないでしょう

こう本には書かれていました。

 本の内容を自分なりに、まとめてみました。

1)幸せは「卑近なかたち」つまり、ごく身近な、何気ないところにあることに気づきましょう。

2)身体の中は幸せだらけ  心臓や腎臓、肝臓などの臓器や血管、神経までもが、一瞬も休まず仕事をしてくれるお蔭で生きて行けます。

 自分の身体に備わっている「生きていく力」に気付き、それを充分に活用し感謝しましょう。

 いつも明るく、なんでもやってみよう、トライしてみようという気持ちで前向きに生きて行くと、血の流れがよくなり、病気も治り易くなります。

3)「デメリット」と思っていた状況の中にも「メリット」があります。その「メリット」を大きくふくらませて、「おまえのまわりには、こんなにいいことが、いっぱいあるじゃないか」と自分にいいきかせましょう。
 見方を変えるだけで、これだけ幸せになれるなんて素晴らしいことです。不幸は不幸好きの人にすり寄り、幸せは幸せ好きの人に飛びついてくるものです。

4)心にあるロックをはずし、幸せを感知する能力を発揮しましょう。既成概念から抜け出し、「パーソナル・スタンダード」を確立すれば、大きな幸せをたぐり寄せることが可能です。

5)「これまで」のままでは通用しない「これから」の時代に、幸せに生き残るために必要なものは、「変わっていける能力」です。

などなど、一読の価値アリ。これは『ニキビ改善』にも応用できます。

 さて、今回、私が提唱する『ニキビ上手』とはどんなものでしょう?

 私が提唱する『ニキビ上手』は、『ニキビの少しの改善に幸せを感じ、前進して変わっていける人』のことです。

 渡辺先生の本を読みながら、治療していてもなかなか良くならないニキビ患者さんのことを思い浮かべました。
 [治療する側の医師である私]と[ニキビ患者さん]との間には、[ニキビ改善の程度]の受け止め方について以下の違いがあります。

イ)[私が受ける改善の度合]と[ニキビ患者さんが受ける改善の度合]の間に差がない場合

ロ)[私が受ける改善の度合]と[ニキビ患者さんが受ける改善の度合]の間に差があり、[ニキビ患者さんが受ける改善の度合]の方が良い場合

ハ)[私が受ける改善の度合]と[ニキビ患者さんが受ける改善の度合]の間に差があり、[ニキビ患者さんが受ける改善の度合]の方が悪い場合

 イ)、ロ)は『ニキビ上手』と言えます。特にロ)の方は、その後、飛躍的に改善する事が多く、しばらくすると外来から姿を消してしまいます。

 ハ)は『ニキビ下手』と言えます。本当はすこしずつ改善しているのですが、『患者さん』の満足度が低く、表情も不機嫌で、私もやる気が失せます。

 人それぞれ『ニキビ上手』の形はちがいます。
 『ニキビ上手』になるには、ちょっとした『コツ』があります。基本は良い意味での『プラス思考』です。
 顔にニキビが10個あったとして、1個減ったら良かったと思えるのが『ニキビ上手』です。1個でも残れば許せないと考えるのが『ニキビ下手』です。

『左頬の目立つニキビが1個減った。これはツイテいる』
『そういえば、最近、新しいニキビが出なくなった。進歩している』
『お化粧でニキビ跡が隠れる様になった。来週のデートが楽しみだわ』
『皮膚科に通院して2ヶ月。少し前髪を上げてみたら先生に褒められた』
『皮膚科に行ったら、待合室には私より酷いニキビの人がたくさん。思い詰めた人ばかりと思っていたけど、意外と皆、明るくて救われた』

 そうです。身近な所に、普通に『ニキビ上手のコツ』=『ニキビ改善のサイン』はたくさん転がっているのです。
 こんな考え方ができるようになれば、自然と『ニキビ上手』になり、自分なりに素晴らしい『ニキビ上手な人生』を送ることが出来ます。

 『ニキビ上手』になれないのは、『私の理想はニキビがない、ニキビ跡もないトップモデルの素肌です』『完璧なニキビなしの素肌じゃなきゃイヤ。先生1回で良くして下さい』など、『めったにない幸せ』にとらわれているせいではないでしょうか。

 例え、自分が思い描く『ニキビ改善のサイン』が得られないとしても、他にも『ニキビ改善のサイン』はたくさんあるのです。
 自分が今持っている『ニキビ改善のサイン』を友人に教えられたり、日々の生活の中で経験できたり出会えたりする『ニキビ改善のサイン』もあります。
 そういう『ニキビ改善のサイン』に気づき、感じられるようになれれば、誰でも『ニキビ上手』になれるのです。

 『ニキビ上手』な人は、自分のまわりにあるちょっとした『ニキビ改善のコツ』を感じることができます。
 『ニキビ下手』な人は、自分のまわりの『ニキビ改善のサイン』をあまり見つけようとせず、『ニキビ悪化のサイン』のことを考えて不幸な気持になっているのです。

 『ニキビ悪化のサイン』を数えて暮らすより、『ニキビ改善のサイン』を数えて暮らしましょう。

 『ニキビ上手』は案外簡単になれますよ。

 今回のポイントは以下の通りです。

 

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その59」

『こう考えると幸せに~ニキビ上手について~』

 
  • •渡辺淳一先生の著書『幸せ上手』(講談社)をアレンジして、ニキビ改善のための新しい考え方、『ニキビ上手』について考えました。
  •  
  • •先生の本の内容を自分なりに、まとめてみました。
    1)幸せは「卑近なかたち」つまり、ごく身近な、何気ないところにあります。
    2)身体の中は幸せだらけ
    自分の身体に備わっている「生きていく力」に気付き、それを充分に活用し感謝しましょう。
    3)「デメリット」と思っていた状況の中にも「メリット」があります。「メリット」を大きくふくらませましょう。見方を変えるだけで、幸せになれるなんて素晴らしい。
    4)心のロックをはずし、幸せを感知する能力を発揮しましょう。既成概念から抜け出し、幸せをたぐり寄せることが可能です。
    5)「これから」の時代に、幸せに生き残るために必要なものは、「変わっていける能力」です。
  •  
  • •私が提唱する『ニキビ上手』は、『ニキビの少しの改善に幸せを感じ、前進して変わっていける人』のことです。
  •  
  • •『ニキビ上手』になるには、ちょっとした『コツ』があります。基本は良い意味でのプラス思考です。
  • •顔にニキビが10個あったとして、1個減ったら良かったと思えるのが『ニキビ上手』。1個でも残れば許せないと考えるのが『ニキビ下手』。
  •  
  • •『左頬の目立つニキビが1個減った。これはツイテいる』
    『お化粧でニキビ跡が隠れる様になった。来週のデートが楽しみ』
    『少し前髪を上げてみたら皮膚科の先生に褒められた』
    など、身近に『ニキビ上手のコツ』=『ニキビ改善のサイン』はたくさん転がっています。
  •  
  • •『ニキビ悪化のサイン』を数えて暮らすより、『ニキビ改善のサイン』を数えて暮らしましょう。
  •  
  • •『ニキビ上手』は案外簡単になれます。

 最近、自分の幸せのハードルが下がってきているように感じます。
 昔は、少ないより多い、格安より高級が良いなどと考えていました。今では『今日も一日無事に過ごせますように』と本当に真剣に願い、朝、昼、晩と3回、ご飯がおいしくいただければ幸せと感じています。
 『幸せ上手』は、本当に素晴らしい本だと思います。私にとって、本年度ナンバーワンのお勧め本です。

 次回は、『ニキビダニ』について考えてみたいと思います。

 それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

第1回~第10回

第11回~第20回

第21回~第30回

第31回~第40回

第41回~第50回

第51回~第60回

第61回~第70回

第71回~第80回

第81回~第90回

第91回~第100回

第101回~第110回

第111回~第120回

第121回~第130回

第131回~第140回

第141回~第150回

トップへ戻る