コラム 「 とかちの窓から 」Column

第84回 『エストロゲン作用を持つ食物の工夫でニキビ改善を』
(2011年8月20日配信)

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 先日、土曜日の診療が終わり、買物を済ませて診療所に戻った所、ポツポツと腕に水滴が落ちてきました。すぐ診療所内へ避難しました。

 時計を見ると、午後3時28分。数分後から私の周囲は、ゲリラ豪雨で別世界になりました。駐車場の側溝からは雨水が溢れ、前の道路を走る車は大型車のみとなりました。その立てる水しぶきは1mに達し、一時、窓の外は10m先も見えない状態となってしまいました。

 最高気温が33℃を記録し、一雨くるかなと思っていましたが、これは凄い!!危うくずぶぬれになる所でした。感謝!感謝!です。

 雨も小降りとなり、用事のため帯広の西地区へ向かいました。降雨はゼロ。道路には土ぼこりが舞っています。部活帰りの中学生が、自転車で夏の青空の下を駆け抜けて行きます。  距離にして30Kmでこの差は大きすぎ。同じ十勝なのに、まるで別世界です。私もつい1時間前の出来事が人ごとのように思えてきました。

 人間は実際に経験したり興味がないと、人ごとのように感じてしまい、無関心のまま過ごしがちです。
( 第55回のコラム 『ニキビとメイク~人はそれほど他の人を見ていない~』 も参考にして下さい。)

 普段とっても気にしているニキビも、他人にとっては気にならない存在であることが多いです。

 夏も後半戦。十勝の空には既に秋の気配が漂います。ニキビと人目を忘れて、残りの夏を楽しみましょう。

 ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。
 このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、自分自身が一歩でも前に進むつもりで、毎月お届けさせていただいています。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

 これは私が皮膚科診療を21年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 前回は、第64回のコラムでも取り上げた『十味敗毒湯』について、桜皮を配合する『十味敗毒湯』が、皮膚のエストロゲン分泌を促進してニキビが改善することについて最近の研究成果を交えて解説しました。
 今回は、前回のエストロゲンと関連して、『エストロゲン作用を持つ食物』を工夫することで、ニキビ改善につなげる方法を考えました。

 エストロゲン?? 先月、聞いたけど忘れちゃいました!!

 もう一度、おさらいをしましょう。これは大切です。

 思春期を迎えた10代のほとんどの人はニキビに悩みます。原因は、この時期(第二次性徴期)に、性ホルモンのバランスが大きく乱れるためです。

 性ホルモンには、アンドロゲンに代表される男性ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモンなどの女性ホルモンがあります。

 第二次性徴期の後期を迎えると、女性ホルモンに比べ、男性ホルモンの分泌が盛んになります。そして、この男性ホルモンの働きによって、ニキビが発生します。  皮脂を分泌する皮脂腺が増大し、皮脂の分泌量も多くなり、皮膚がオイリーな感じになります。皮脂が毛穴に詰まると、にきび第1段階のコメドが形成されます。

 また、男性ホルモンにより、皮膚の古い細胞がはがれにくくなり、厚くたまってしまう角化異常も起こります。
 男性ホルモンの分泌が盛んになることが、ニキビ発生につながります。男性のほうが男性ホルモンは多いので、男性のほうが重いニキビになることが多いのです。

 女性の場合は、月経の前後で性ホルモンの分泌バランスが大きく変化します。黄体ホルモンは男性ホルモンと似たような働きがあり、黄体ホルモンが多く分泌されると、皮脂の分泌量も増え、ニキビができやすくなります。

 一方、女性ホルモンであるエストロゲンは、男性ホルモンをブロックする方向に働き、ニキビの増加・悪化を抑えます。
 ということは、ニキビ改善のためには、男性ホルモンを減らし、女性ホルモンでは黄体ホルモンも減らすことが有効と考えられます。
 また、女性ホルモンのエストロゲンを増やすことも有効です。

 前回お話しした、桜皮を配合する『十味敗毒湯』が、皮膚でエストロゲン分泌を促進して、ニキビ改善につながることは、この性ホルモンのメカニズムで裏付けられます。

 『食物でこれを実現できないか?』との考えが浮かんできます。エストロゲンと食物との関係は研究が進み、近年、注目を浴びています。

大豆等に含まれるイソフラボンは、エストロゲンの働きを活発にします。そのため、大豆製品の豆腐や納豆、味噌、おからなどはエストロゲンを増やす働き(=エストロゲン様作用)があるとされます。

 エストロゲンと食物の関連性を生かして、血管の老化を防ぎ、血液をサラサラにするという食事療法が出現したり、薬の服用とともにエストロゲンに関係する食物を上手に取り入れる事で、心筋梗塞や脳梗塞の発生率を低下させたという研究も報告されています。

 その他、エストロゲン様作用を持つとされる食物には、不妊治療にも効果があるとされる『マカ』、肌や髪がつやつやになるとブームになった『ザクロ』などがあります。

 しかし、これらは科学的根拠に欠け、継続的に摂るのは難しいです。数年前、知合いの方から『ザクロ』をいただきました。実際食べてみると、実の部分があまりにも少なく、驚きました。これでは、必要量を確保するのは至難の業と思いました。

 また、随分前の話しになりますが、『ダイエットとニキビを治したくって、豆腐ばかり食べています!』という難治のニキビ患者さんがいらっしゃいました。

 ニキビ改善まで時間がかかりましたが、決め手は食事のバランスでした。豆腐を1日半丁までに制限したら良くなりました。それまでは1日2~3丁食べていたそうです。また、後日、試しに豆腐を止めたら悪化したともお聞きしました。

 豆腐をはじめとする、大豆製品の美容・健康効果は、海外でも注目を浴びており、私も食事には積極的に取り入れています。
 但し、遺伝子組み換えの大豆には注意が必要と考え、地元、十勝産の大豆を使用した納豆や枝豆をいただいています。

 食事のバランスに十分配慮した上で、エストロゲン作用を持つ食物、特に、大豆製品を工夫して取り入れることで、ニキビ改善をはかる事ができると考えています。

 ビール好きの方には枝豆のおつまみ。冷や奴もいいですね。毎日、豆腐入りの味噌汁を飲んで、納豆ご飯。サラダには大豆を添えます。いろいろなバリエーションが簡単に楽しめますね。

 エストロゲン作用を持つ栄養価の高い大豆製品を毎日いただく。オススメのニキビ改善法です。

 今回のポイントは以下の通りです。

 

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その68」

『エストロゲン作用を持つ食物の工夫でニキビ改善を!』

 
  • •最近の研究では、桜皮を配合する『十味敗毒湯』が、皮膚のエストロゲン分泌を促進してニキビが改善することがわかりました。
  •  
  • •今回は、『エストロゲン作用を持つ食物』を工夫することで、ニキビ改善につなげる方法を考えました。
  •  
  • •大豆等に含まれるイソフラボンは、エストロゲンの働きを活発にします。
  •  
  • •大豆製品の豆腐や納豆、味噌、おからなどは、エストロゲンを増やす働き(=エストロゲン様作用)があるとされます。
  • •その他、エストロゲン様作用を持つとされる食物には、不妊治療にも効果があるとされる『マカ』、肌や髪がつやつやになるとブームになった『ザクロ』などがありますが、科学的根拠に欠け、継続的に摂るのは難しいです。
  •  
  • •『ダイエットとニキビを治したくって、豆腐ばかり食べています!』という難治のニキビ患者さんが、以前、いらっしゃいました。
  •  
  • •食事のバランスを考え、豆腐を1日半丁に制限したら改善しました。後日、試しに豆腐を止めたら悪化したともお聞きしました。
  •  
  • •食事のバランスに十分配慮した上で、エストロゲン作用を持つ食物、特に、大豆製品を工夫して取り入れることで、ニキビ改善をはかる事ができると考えています。
  •  
  • •ビール好きの方には枝豆のおつまみ。冷や奴。毎日、豆腐入りの味噌汁を飲んで、納豆ご飯。サラダには大豆を添えるなど、いろいろなバリエーションが大豆製品なら簡単に楽しめます。
  •   
  • •エストロゲン作用を持つ栄養価の高い大豆製品を毎日いただく。オススメのニキビ改善法です。

 6月からエンジンがかかっている十勝の夏。アリさんが大発生と思ったら、ゲリラ豪雨も発生。数分の差でずぶぬれ回避は本当に助かりました。感謝の一言に尽きます。

 今年は暑い夏のお蔭で、小麦をはじめ、ジャガイモ、甜菜、豆類など、十勝の農作物は豊作が予想されています。収穫の秋が楽しみです。

 次回は、ニキビとタバコについて考えたいと思います。

 それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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