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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2011年11月20日配信)

第87回 『ニキビとタバコについて~禁煙のために タバコに実はメリットはなかった~』

こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 10月23日の日曜日、出張先の札幌でたまたま入ったカフェ 『プ○ント』 での実話です。

 私が窓際の席に座って、コーヒーを飲んでいると、初老の男性2人(AさんとBさん)がお隣の席に座りました。

 お二人が大きめの声で会話されていたため、会話内容は周囲に筒抜けでした。ちょっと聞き耳を立ててしまいました。
(会話内容より、お二人は同年代の古くからのコンピューター仲間で、しばらく振りに再会されたようでした。以下で略歴を推測します。)

Aさん:北海道在住。パソコン通信時代からパソコンに慣れ親しむ。最近まで、健康を害して入院していたらしい。見た所70代。
(私の右向いに座り、顔や姿が確認できる)

Bさん:現在は日本のどこかにお住まい。札幌にはAさんに会いにきた。アメリカのメキシコ国境沿いの都市で日本企業の駐在員として1970年代後半から80年代を過ごす。
(私の背中越しに座り、顔や姿は後ろを振り返らないと確認できず)

    ( 会 話 内 容 )

Bさん 『サタデイナイトフィーバーはリアルタイムで映画館で見たよ。ジョン・トラボルタが今でも映画に出てるのを見ると昔を思い出すね。ビリージョエルのJusttheWayYouAreが好きだったなあ』

Aさん 『おれは相手役の子が好きだった。このパスタおいしいね。水—。うっ。(胸を抑える)』

Bさん 『おいおい大丈夫か?』

Aさん 『うっ。(相変わらず胸を抑える)』

私(心の中で)『これは狭心症だ。店の人に連絡して救急車呼ばないと。16年振りの心臓マッサージか。ここではやりたくないな—-』

Aさん 『ふーう。はあー。少し楽になったよ。入院中は数本で済んでたんだけど、退院後は1箱弱吸う様にゴホゴホ—-なってしまってね』

Bさん 『お前タバコまだ吸ってたのか?心臓に悪いぞ。俺は30年も昔に止めたぞ』

私(心の中で)『良かった。帰りのJRの時間だ。さようなら!』

 席を立つ時、振り向き様に、私の背後に座っていたため見えなかった、Bさんの顔と服装が私の目に飛び込んできました。顔は色白、アメリカンカジュアルで固めた服装は、50代前半。若い!! 70代と思っていたAさんは、本当は60代前半なのでしょう。

 この大きな差は何でしょうか?  それは 『タバコ』です。

 このスリル満点の出来事は今回のコラムにうってつけでした。個人的には当分カフェは遠慮させていただきます。

 ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。

 このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、自分自身が一歩でも前に進むつもりで、毎月お届けさせていただいています。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

 これは私が皮膚科診療を21年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 前回は、タバコの禁煙法・減量法を考えるにあたり、
(1)私が経験したタバコが人生を変えた例
について、大変気が重かったのですが、お話しさせていただきました。

 今回は、(2)タバコに実はメリットはなかった について、私の経験を交えてお話しさせていただきます。

 他人(45歳の若輩者の私)の拙い経験ですが、この経験から学べることは意外と多いのではないかと考え、敢えて取り上げさせていただくことにしました。

 私が卒業したのは、地方の中堅の公立の医大です。

 幸いなことに現役で合格することができました。地方の公立高校卒の世間知らずの私にとって、大学生活には驚くことがたくさんありました。
 同級生、先輩をみても、優秀な者が多かったのです。中堅の公立だから大したことないかなと思っていたのは、大きな誤りでした。

 以下に私の記憶に残った、友人・先輩を紹介します。皆、なぜか喫煙者でした。

『タバコは集中力を高め、脳を活性化するメリットがあるのでは?』と半信半疑ながら思ってしまいました。

例1)試験時間最速で試験を終了させ進級する友人

 試験時間は90分でした。
 しかし、A君は、時間の半分程でさっさと答案用紙を埋め、会場を去ります。焦った試験官の先生が本当に大丈夫かと念を押すと、軽くうなずいてともかく去ります。結果も合格で、きちんと進級します。
 試験直前にはタバコをふかして大変集中しているように見えました。

例2)人間コピー機

 B君は朝が苦手です。講義には最低限しか出ませんし、ほぼ寝ています。勉強は基本的にしないことにしています。試験が近づくと、休み時間などを利用して勉強します。(その他は家庭教師のバイトやサークル活動があり勉強しません。)

『○○ちゃん、勉強するなんて珍しいね』と友人C君がおちょくると、『今、私は丸暗記しているので邪魔しないでくれ!』と本気で怒ります。
 左手で教科書やノートをめくりながら、右手にはタバコ。友人C君がチェックすると本当にB君は丸暗記していたのでした。

 ちなみにその友人C君は、ある教科では高校時代の全国模試のトップの常連で、当然のようにタバコを吸っていました。

例3)講義中に某科の助教授が喫煙者の方が良い論文を書けると発言

 私は凡人なので講義にはきちんとでていました。ただ出ていただけです。5年生の講義だったと思いますが、某科の助教授が大学院生の論文審査について意見を述べられました。

『まあ、あくまで私見だが、喫煙者の大学院生の方が良い論文を書いている。タバコを吸わないやつに限って論文がかけないとか泣き言を言う。
 私はタバコを吸うが、タバコを吸うと右脳と左脳がつながって良いアイデアが浮かぶんだな』

 当時、私は大学院進学を真剣に考えており、論文が書けるとか通るという言葉に弱かったのです。大変ショックを受けました。

例4)タバコを吸いながらディスカッションする先輩や友人は鋭い

 学生の時には友人同士で少人数で勉強会を開きました。また、大学院では、実験を進めたり、結果を分析したり、論文書きなどでは、常に先輩の先生とディスカッションを行います。

 勉強会では、なぜかタバコを吸う同級生の理解度や説明が深く感じられました。

 大学院では、先輩の先生が圧倒的に鋭く、実験方法や実際のマネージメントは頼りっきりでした。次々と出てくるアイデアも素晴らしく、これは先輩の先生の頭の良さももちろんありますが、灰皿を埋め尽くすタバコがその源泉ではないかと、本気で思っていました。

 月日が経って、今年の夏。私は1冊の雑誌を読みました。『PRESIDENT2011.8.29号』です。

 『タバコの生涯コスト1600万円!効果満点の「リセット禁煙」とは』という記事は目からウロコでした。

 記事中のこれに気づけば禁煙できる!喫煙者の「3大勘違い」は大きな気づきを私に与えてくれました。

1)タバコは元気づけになる = ウソ

 

 実は ドーパミン不足で自力で元気になれない人になっている= ホント

2)タバコはストレス解消になる = ウソ

 実は ニコチン切れのイライラにしか効かない = ホント

3)タバコを吸うと落ち着く(リラックスできる) = ウソ

 実は α波が減少していて、イライラが増えている = ホント

 3)をもう少し詳しく考えると、

喫煙者の頭の中:

イ)α波は常に出ていて、平常もリラックスしていると考えている。
ロ)タバコを吸ってみる
ハ)タバコのおかげで平常より更にリラックスできる=タバコは最高!!

実際に起きていること:

イ)タバコのニコチンは脳のドーパミン神経を刺激し、幸福感をもたらす脳内物質ドーパミンを無理やり出させます。
 喫煙を続けると無理がたたって、ドーパミン神経が弱り、自力ではドーパミンを出せなくなります。結果、癒しの脳波であるα波も減少し、喫煙者は非喫煙者と比べて、リラックスの程度は大変低くなっています。
 常にイライラした状態です。

ロ)タバコを吸うと、その瞬間だけ幸福感をもたらす脳内物質ドーパミンが出ます。

ハ)吸った時だけα波も復活して、その瞬間だけ『落ち着く』『リラックス』できる状態となります。本当は、吸っていなければ、ずっとリラックスしていられた訳です。

 そういえばタバコを吸っていた同級生や先輩達は、短気な人が多かったように思います。いい大人(喫煙者の学生や医師)同士で議論が沸騰し、怒鳴り合ったり、取っ組み合いの喧嘩をするのを見た事もあります。

 私の場合はというと、よく先輩などから厳しく指導されました。当時は、私の理解力が低く、物覚えが悪く、認識に甘さがあったために怒られたりしたのかなと思って納得していました。

 しかし、冷静に振り返ると、喫煙者は精神的にイライラしやすいためにちょっとしたことで感情のコントロールが出来なくなり、小心者でおどおどしていた私に、厳しく指導することになったのかとも考えられるようになりました。(ちょっと都合の良い解釈ですね。)

 また、外来で多くの喫煙者の患者さんを見ますが、特徴的なことを最近発見しました。喫煙者の患者さんは皆、程度の差はあるものの明らかにどこか落ち着きがないのです。独特のテンションの高さを示す患者さんも多いです。

 当科は待ち時間が長くなることが多く、院内禁煙のため、ニコチン切れとなり、イライラそわそわしてしまうためと思われます。

 最後に、半信半疑ながら私が唯一のタバコのメリットと思っていたこと『タバコは集中力を高め、脳を活性化するメリットがあるのでは?』 これはどう論破すべきでしょうか?

 これは簡単です。『多数の喫煙者の中にたまたま頭の良い優れた特に目立つ人がいました。
 非喫煙者で小心者、おどおどしていた凡才の私は、様々なバイアスがかかり、喫煙にはメリットもあると思い込まされていました。
 結局の所、タバコに実はメリットはありませんでした』というのが真相なのでした。

 大学を卒業して21年経ちました。大学の権威が大幅に低下して教授になるメリットは少なくなりました。しかし、教授になるためにはかなりの努力と頭の良さが必要です。これを目安に喫煙者と非喫煙者の割合を私なりに検討してみました。

 同級生では他の大学の教授になったものが複数出てきています。先輩では母校の教授になった方が複数出てきています。
(その内にはせっかく母校の教授になったものの、就任後数年で逝去された本当に残念な例が出てきています。)
 後輩では他大学の教授となり様々な賞を受賞しているものもいます。

 一部、記憶に曖昧な点もありますが、これは非喫煙者に軍配が上がります。

 喫煙者の場合はどうでしょうか? 平々凡々、勤務医や開業医となり、あまり目立つものはいないようです。
(これはあくまで私の私見です。失礼があったらすみません。)

 タバコによるニキビの悪化について再々掲します。ニキビにとって、タバコはやっぱりタブーですね。

1)タバコは皮膚の毛細血管を収縮させ血流を悪くします

2)タバコは体内のビタミンCを消耗し、ストレスに弱い体になります

3)タバコは活性酸素を大量に発生させます

 ニキビくらいならいいじゃないと軽く考えずに、予防の観点からも、また今の健康を維持するためにも、タバコは吸わないのが一番です。

 45歳となった今、私は本当に心底思います。私は今後も、タバコと無縁な生活を送っていきたいと思います。

 今回のポイントは以下の通りです。

 

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その71」

『ニキビとタバコについて~タバコに実はメリットはなかった~』

 
  • •ニキビに悪影響を与えるタバコ。禁煙法・減量法を自分なりに以下の2つに絞って考えることにしました。

    (1)私が経験したタバコが人生を変えた例

    (2)タバコに実はメリットはなかった
  •  
  • •今回は(2)を私の経験と禁煙を勧める本の内容とを照らし合わせて考えました。
  •  
  • •地方の公立高校卒の世間知らずの私は、大学入学後『タバコは集中力を高め、脳を活性化するメリットがあるのでは?』と半信半疑ながら思い込んでしまいました。

    以下の例1)~例4)は全て喫煙者でした。

    例1)試験時間最速で試験を終了させ進級する友人
    A君は、時間の半分程でさっさと答案用紙を埋め、会場を去ります。結果も合格で、きちんと進級。試験直前にはタバコをふかして大変集中していた。
    例2)人間コピー機
    B君は、講義には最低限しか出ず、ほぼ寝ています。試験が近づくと、休み時間などを利用して勉強します。
    『○○ちゃん、勉強するなんて珍しいね』と友人C君がおちょくると、『今、私は丸暗記しているので邪魔しないでくれ!』と本気で怒ります。
    左手で教科書やノートをめくりながら、右手にはタバコ。
    友人C君がチェックすると本当にB君は丸暗記していた。その友人C君は、ある教科では高校時代の全国模試のトップの常連で、やっぱり喫煙者。

    例3)講義中に某科の助教授が喫煙者の方が良い論文を書けると発言
    『まあ、あくまで私見だが、喫煙者の大学院生の方が良い論文を書いている。タバコを吸わないやつに限って論文がかけないとか泣き言を言う。
    私はタバコを吸うが、タバコを吸うと右脳と左脳がつながって良いアイデアが浮かぶんだな』

    例4)タバコを吸いながらディスカッションする先輩や友人は鋭い

    学生時代の勉強会では、なぜかタバコを吸う同級生の理解度や説明が深く感じられた。大学院では、先輩の先生が圧倒的に鋭く、頼りに。
    アイデアも素晴らしく、先輩の先生の頭の良さももちろん、灰皿を埋め尽くすタバコがその源泉ではないかと本気で思っていた。
  •  
  • •『PRESIDENT2011.8.29号』

    『タバコの生涯コスト1600万円! 効果満点の「リセット禁煙」とは』 という記事は目からウロコでした。
  • •これに気づけば禁煙できる!喫煙者の「3大勘違い」は大きな気づきを私に与えてくれました。
  •  
  • •半信半疑ながら私が唯一のタバコのメリットと思っていたこと『タバコは集中力を高め、脳を活性化するメリットがあるのでは?』は論破されました。
  •  
  • •『多数の喫煙者の中にたまたま頭の良い優れた特に目立つ人がいました。非喫煙者で小心者、おどおどしていた凡才の私は、様々なバイアスがかかり、喫煙にはメリットもあると思い込まされていました。結局の所、タバコに実はメリットはありませんでした』
  •  
  • •ニキビくらいならいいじゃないと軽く考えずに、予防の観点からも、また今の健康を維持するためにも、タバコは吸わないのが一番です。
  •  
  • •私の拙い経験が、禁煙のきっかけに少しでもなれば最高です。
  
 今回のお話しを読んで、『リセット禁煙』は禁煙の本に出てるじゃない。何を今更馬鹿なことを。タバコにメリットなんてあるわけないでしょという方も実は多いのではないかと思います。  でも私は、非喫煙者で長年に渡り、様々なバイアスがかかっていたため、正面から論破することがなかなかできなかったのです。  今回のコラムで個人的にはかなりすっきりしました。  気分転換に待合室においてある『週刊女性』(11月15日号)をめくると、『女のタバコを考える』という特集が組まれていました。  これは見逃せない。なるほど。これは大切だ!!  ということで、大変しつこいですが、次回はこれを題材にして、『タバコとニキビについて』と本年の〆とさせていただくことにしました。  それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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