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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2013年1月20日配信)

第101回 『50℃洗いについて ~ おいしい野菜と果物をいただく一工夫 (1)理論編 ~ 』

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 北海道・帯広・十勝は寒いことで有名です。
 雪については、1日で30~50cm(最大70cm)程度の雪が時々積もります。地元では『ドカ雪』とよばれるその雪ですが、昨年12月は例年の3倍程度の降雪量を記録しました。

 『除雪・排雪』(*)は専門業者さんに全てお任せできるのが最高です。しかし、雪は冬の間、24時間いつでも降ります。実際には予算の関係もあって、不可能です。

(*)除雪:降り積もった雪を取り除くことです。
  排雪:除雪の結果出てきた雪を、トラックなどに積んで指定の雪捨て場に移すことです。

 そこで、私の出番です。診療時間以外、24時間出動します。広い駐車場(50台駐車可)が特色である当院・当研究所としては、冬の重要な仕事の一つが、この『除雪・排雪』なのです。

 15年程前に開業した時には、勝手がわからず、やたらと時間をかけていたような気がします。ここ8年程は、最小の努力で最大の効果をあげる除雪を心がけています。

 以下で、私なりの『心がけ』を示します。

1)正確な天気予報をまめにチェックします。排雪のことも考え、業者さんと連絡を密にとります。

2)駐車場の利用者が利用しやすいように、外構部分の縁石・車止め・ライン・玄関をきれいに除雪して死守します。

3)次に30cm降雪があっても支障がないよう、その時にできる範囲で一歩進めて除雪します。

4)業者さんへの支払いは迅速(請求書到着後すぐ)にします。

以上の『心がけ』で、『冬の除雪・排雪』は大きなトラブルなく行えるようになりました。
 昔は『嫌いな冬の仕事』でしたが、現在は『冬の良い運動』と考え、前向きに取り組んでいます。

 そうそう、『心がけ』一つで、嫌いなこと・面倒なことも、前向きに解決していくことが可能です。

 『ニキビ改善』も『心がけ』一つです。いつもお示ししている『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』のうち、一つでも常に『心がけ』ると違ってきます。

 『ニキビ改善』は一筋縄ではいかないことも多いです。このメルマガが、月に1度必ず届く、『ニキビ改善の心がけをお伝えする定期便』になれば幸いです。

 ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。
 このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、自分自身が一歩でも前に進むつもりで、毎月お届けさせていただいています。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

 これは私が皮膚科診療を22年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 昨年までは、最近、新たな効能・効果が話題になっている『コーヒー』について、

『コーヒーポリフェノールの活性酸素除去効果でニキビ改善』

が期待できるという『コーヒーのニキビ改善メカニズム』の一つを提唱した上で、最後に前回、もう一度コーヒーつながりで、『私とニキビとコーヒーと』と題してお話しさせていただきました。

 今回は、ニキビ改善に欠かせない、おいしい野菜と果物をいただく一工夫として、今話題の『50℃洗い』について考えてみたいと思います。

 ニキビと野菜・果物の関係については、第68回、69回、70回、71回、96回のコラムも参考にして下さい。

 最近、話題の『50℃洗い』。
 50℃のお湯で洗うだけで、野菜や果物、肉の鮮度が蘇り、日持ちもよくなると評判です。『50℃洗い』(平山一政著:小学館)もベストセラーとなっています。

 私がこの方法を初めてテレビで見た時、『これはどこかで聞いた話しだな』と思いました。『20年前、大学院の学生だった頃、少し実験した「熱ショックたんぱく質heatshockprotein」と関係がありそうだな』と考え、調べてみました。
 やはりそうでした。以下でまとめます。

イ)しなびた食材を50度のお湯につけることで、新鮮さを取り戻すなど話題を集めた『50℃洗い』は、熱ショックたんぱく質(heatshockprotein)の働きによって効果がもたらされると考えられています。

ロ)熱ショックたんぱく質が傷んだ細胞を修復させる働きをし、細胞が活性化することで老化や熱変性を防ぐ働きをすることが推測されます。

ハ)これは人間の体にも同様の効果が期待でき、細胞の活性化や乳酸の発生を遅らせたりする効果も考えられます。
 NHKのテレビ番組『ためしてガッテン』(2011年5月11日放送)では、『大検証!体温アップで超健康の真実』というタイトルで、熱ショックたんぱく質の性質を解説し、免疫力アップの効果を検証する実験が行われていました。

『 白血球の一種、T細胞の培養したがん細胞に対する攻撃力を35度と39度の温度で比べると、35度では12時間で14%のがん細胞を攻撃していたものが、39度では12時間で44%と3倍以上もの違いがあった 』という結果が示されました。

 活性酸素など、さまざまな理由で傷ついてしまうT細胞のたんぱく質は、温度が上がることで熱ショックたんぱく質による傷の修理がうまくいき、T細胞の攻撃の効果が上がることが考えられます。

 これはなかなか素晴らしい!過去に実験していた私も、十分納得できます。『50℃洗い』をうまく活用できれば、おいしく野菜や果物をいただくことができ、ニキビ改善につながります。

 『50℃洗いの基本の手順』を以下に示します。簡単な方法です。

1)『お湯を入れます』
 大きめのボウルに三分の一ほど水を入れます。沸騰したお湯を水と同程度注いで菜箸などで全体をかき混ぜ、ボウル内のお湯の温度を一定にします。

2)『温度を計ります』
 調理用温度計などを使ってお湯の温度を計ります。50℃が望ましいですが、48℃~52℃までは適応範囲です。低ければお湯を足すなどして温度を調整します。

3)『洗うものを入れます』
 全体をお湯に沈めるようにしながら洗うのが基本です。お湯の温度が下がってきたら差し湯をします。50℃のお湯はけっこう熱いので、ゴム手袋をはめても良いです。

4)『お湯から上げ水気を取ります』
 洗い終わり、ボウルから上げるときにできるだけ水気をきりましょう。さらにキッチン用ペーパータオルを使って食材の水分を丁寧に拭けば完了です。

 次に、『50℃洗いで得られる4つの利点』を以下に示します。

1)『みずみずしさが蘇ります!』
 収穫後の野菜は水分の蒸発を抑えるため葉の表面の気孔を閉じます。50℃で洗うとヒートショックで気孔が開き、水分が吸収されます。しおれた葉物野菜も、収穫直後のみずみずしさが蘇ります。

2)『汚れや酸化した部分が良く落ち、食材の旨みがアップします!』
 肉や魚介類は空気に触れて酸化すると味が落ちます。50℃洗いすれば酸化した部分や余計な脂肪が水洗いよりよく取れ、さっぱりした味わいになります。臭みもなくなり、旨みや甘みがアップします。

3)『ふっくら、シャッキリなど食感が変わります!』
 野菜や果物はハリを取り戻し、肉や魚介類はふっくらと柔らかくなるなど食感も変化します。50℃洗いして焼いた肉は厚みが増し、肉汁がジュワーッと出るので調理後の味もおいしく変化します。

4)『調理の 時短効果 も得られます!』
 50℃洗いすることで味が染み込みやすくなり、下ごしらえも 時短 できます。あさりの砂抜きが5分で完了、半日漬けたピクルスが2日後の味となるという報告もあります。冷凍食品の解凍時間も短縮できます。

 次回は、『私の50℃洗い実践報告』についてお話しさせていただきます。
 今回のポイントは以下の通りです。

 

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その85」

『50℃洗いについて
  ~ おいしい野菜と果物をいただく一工夫
 (1)理論編 ~』

 
  • •ニキビ改善に欠かせない、おいしい野菜と果物をいただく一工夫として、『50℃洗い』について考えてみました。
  •  
  • •最近、話題の『50℃洗い』。50℃のお湯で洗うだけで、野菜や果物、肉の鮮度が蘇り、日持ちもよくなると評判です。
  •  
  • •この『50℃洗い』は私が20年前、大学院の学生だった頃、実験していた「熱ショックたんぱく質heatshockprotein」と関係がありました。理論的にも納得できます。
  •  
  • •方法は簡単で、以下の4つの利点があります。
    1)『野菜・果物のみずみずしさが蘇ります!』
    2)『野菜・果物などの汚れや酸化した部分が良く落ち、食材の旨みがアップします!』
    3)『ふっくら、シャッキリなど食感が変わります!』
    4)『調理の 時短効果 も得られます!』
  • •次回で『私の50℃洗い実践報告』についてお話しさせていただきます。
    

 ちょっと遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
 巳年の今年、年頭の挨拶で気になった言葉が『脱皮』でした。 安倍首相も、『今年は巳年。私が以前首相を勤めていたときから6年経ち、私自身“脱皮”しました』と述べられたそうです。

 政治とは無関係な私ですが、第43回と71回のコラムで取り上げた、『脱皮できない蛇は滅びる』(ニーチェ)を思い出しました。
 『脱皮しない蛇は破滅する。人間もまったく同じだ。古い考えの皮をいつまでもかぶっていれば、やがて内側から腐っていき、成長することなどできないどころか、死んでしまう。常に新しく生きていくために、わたしたちは考えを新陳代謝させていかなくてはならないのだ。』
「超訳 ニーチェの言葉」(フリードリヒ・ニーチェ著、白取春彦訳)より

 何度、聞いても深い言葉ですね。今年は、常にこの言葉を思い出して行動したいと考えています。

 今年もよろしくお願いいたします。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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