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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2013年8月20日配信)

第108回 『ニキビといじめについて(1) ~お母さんの理解が大切です~』

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 朝はテレ東の経済ニュースを見る位で、テレビはあまり見ません。先日、経済ニュースを見終わった後、珍しく他局の番組を見ました。
 北海道の民放が自主制作している、朝のワイドショー番組です。新聞を見ながら、ちょい見していると、どこかで見た事のある顔が。

 何と!!

 出身大学の先輩M先生が、レギュラーでコメンテーターをされていたのでした。

 M先生は、精神科に入局され、現在は民間病院の院長をされています。お顔を拝見するのは、二十数年振り。すっかりナイスミドルに変貌を遂げていらっしゃいました。
 本職の医学関係はやさしい言葉で、そつなくコメント・解説され、スポーツでは、ゴルフの話題を振られると、玄人はだしの解説です。
 これはすごい!北海道のテレビ界に『医師枠のコメンテーター』が誕生していました。

 M先生は大学時代、確か軟式テニス、ゴルフ、マイコン(パソコン関係の同好会)!!の3つのクラブ活動を掛け持ちしておられたと思います。これが、今になって役立っていらっしゃるようです。  クラブ活動を掛け持ちしながら、厳しい医学部の試験をクリアするのは、並大抵ではありません。

 ちなみに私は、1年程で運動の部活動は辞めてしまいました。

 北海道では、日本ハムファイターズの大谷選手が、バッターとピッチャーの二刀流で有名ですが、
M先生は、医師とコメンテーターの二刀流です。
 そうそう、『ニキビ改善』には、二刀流のように、様々な『アプローチ方法』で対処する必要があります。
 『あちらがダメなら、こちらがあるさ』『こんな別の視点で考えてみたらどうだろう』などと柔軟に取り組むことも大切です。

 『ニキビ改善』は一筋縄ではいかないことも多いです。このメルマガが、月に1度必ず届く、『ニキビ改善につながる様々なアプローチ方法を提供する定期便』になれば幸いです。

 ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。
 このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、自分自身が一歩でも前に進むつもりで、毎月お届けさせていただいています。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

 これは私が皮膚科診療を23年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 前回は、『ニキビを発生させる起因菌についての新発見』についてお話させていただきました。
 今回は、『ニキビといじめ』についてお話させていただきます。

 先日、虎ノ門病院 皮膚科部長 の 林 伸和 先生 の講演会があり、出席させていただきました。
 その中の話題の一つが、『ニキビといじめ』でした。ちょっと重いテーマだなと思いましたが、私も、過去に『いじめ』を受けていたニキビ患者さんを診察した経験がありましたので、取り上げることにしました。

 私が診察しているニキビ患者さんの年齢層は幅広く、小学3・4年生から中学・高校までの学生の患者さんと、成人の患者さんの割合を比べると、大体、半々です。結構、若い人が多いです。

 もう、10年程前の外来での実話です。

(看護師:精神科病棟勤務経験者)
     『先生。ニキビのA君が私が説明していると、
      深刻そうな顔をして 
     「死にたい」といきなり言いました。
      心配なのでお母さんと話をして下さい。』

(私)  『えっ!! 本当?
      そんなに思い詰めているようには思えないけど。
      まず、お母さん呼んで。』

      ( 経過・経緯を説明する) 

(A君の母)『ちょっと神経質な子ですが。そんな事を言うなんて。
       よく家族で話をしてみます。』

     その後、ちょっと間をおいて、(私)と(A君)だけで

(私)  『先生も正直言って、       「死にたい」と思ったことは何度もあるよ。       でも、今は生きていて良かったと思ってるよ。       長い人生いろいろあるさ。』

(A君)  『(力なく)はい。』

 その後、聞いた所では『いじめ』が原因だったとのこと。『ニキビ』についても、うるさく言われていたそうです。
 (A君)のニキビは間もなく改善し、今は、成人して社会人です。

 林先生の講演で、説明されたのは、以下のようなものです。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000002763.htmlを以下で引用・改変させていただいております。)

 中高生と中高生の子どもをもつ母親を対象に、ニキビに関する意識についてインターネット調査を実施し、両者の意識の違いなどについて検討したものです。※1

※1調査を実施した対象は、
 血縁/同居の関係を持たない中高生(930名)と母親(1,000名)。
 中高生一般の意識と中高生の子どもを持つ母親一般の意識を比較した結果です。

[ 調 査 結 果 ]

1. “ニキビの悩み” 親子間で約2倍の差がありました。

 ニキビにより「恥ずかしい」「自信がもてない」と感じている子どもはいずれも35%以上。母親の想像よりも約2倍も多い結果でした。
 母親の54.2%が子どものニキビについて「特に心配は無い」と思っており、ニキビに対する悩みについて、子どもと母親の間にギャップがあります。

2. 軽症のニキビでも、悩みは深い

 ニキビについて悩んでいると回答した子供の割合は52.2%。重症度分類でみると、重症が最も高く87.6%。面ぽう主体の軽症のニキビでも、約半数がニキビに悩んでいました。  症状に関わらずニキビは思春期の子どもの心理面にマイナスの影響を及ぼします。

3. 親が知らない子の悩み

(1)ニキビで“嫌な思い” 中高生の7人に1人が経験
 ニキビにより「嫌な思い/経験」がある子どもは7人に1人(14%)。具体的には、
 「にきびの数を数えられた」
 「『お前、顔洗っているのか?』と馬鹿にされた」
 「高校受験の際、面接で良くない印象を持たれないか心配だった」
 「ニキビがあることで、“ぶつぶつ”、“ニキビ女”などあだなをつけられた」
 「“汚い”とからかわれたりした」
など、精神的な悩みにつながる経験を持つ実態がわかりました。

(2)ニキビが原因でイジメにあった経験のある子どもは930人中21人
 ニキビが原因で過去にいじめられたり、現在いじめられている子どもは、今回の調査対象930人中21人(2.3%)。
 一方、子どもがニキビでいじめられた経験があることを認知している母親はわずかに0.4%。

 今回の調査対象は子どもと母親は独立した集団で親子関係はありませんが、
  『ニキビが原因で子どもが悩んでいることを母親は把握できていない』
状況が示唆される結果となりました。

( 私の感想 )

 これは、毎日ニキビ患者さんを診察している立場から、良く理解できます。小・中・高校生がニキビで受診される場合は、お母さんがグイグイ引っ張って受診される患者さんがほとんどです。
 ということは、お母さんがニキビについて理解がない場合は、当然受診につながらず、改善しにくい可能性が大きくなります。

 『ニキビ』が原因で、『いじめ』につながることは、実際はそんなに多くないかもしれません。
 しかし、『いじめ』という『ストレス』で『ニキビ』が悪化し、悪循環に陥るということは、かなり多いと思います。

 私の前記の経験からも、『自殺』という最悪の結果につながることがないとはいえません。
 子どもは、私が学生時代の頃のことを思い出しても、親に対してはっきり悩みを打ち明けることは少ないものです。

 現代の社会は、共働き家庭が増加して、親子の会話も少なくなりがち。お母さんの負担もどんどん大きくなっています。  でもやっぱり、子どもにとってお母さんの存在は大きいのです。

 お子さんに『ニキビ』がある場合、ちょっと一言、声をかけるだけでも違うと思います。
  お母さんの理解が子どもの『ニキビ』と『いじめ』を解決するためにまず大切だと思います。

 次回に続きます。

 [今回のポイント]は以下の通りです。

 

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その92」

『ニキビといじめについて(1)
~お母さんの理解が大切です~』

 
  • •今回は、『ニキビ』と『いじめ』についてお話します。
  •  
  • •中高生と中高生の子どもをもつ母親を対象に、ニキビに関する意識についてインターネット調査が実施され、両者の意識の違いなどが検討されました。
  •  
  • •ニキビにより「恥ずかしい」「自信がもてない」と感じている子どもは、母親の想像よりも約2倍も多い一方で、母親の半数超が子どものニキビについて「特に心配は無い」とし、ニキビに対する悩みについて、子どもと母親の間にギャップがあります。
  •  
  • •軽症のニキビでも悩みは深く、症状に関わらずニキビは思春期の子どもの心理面にマイナスの影響を及ぼします。
  •  
  • •ニキビで“嫌な思いは、中高生の7人に1人が経験し、ニキビが原因でイジメにあった経験のある子どもは930人中21人(2.3%)。
  •  
  • •子どもがニキビでいじめられた経験があることを認知している母親はわずかに0.4%。
  •  
  • •『ニキビが原因で子どもが悩んでいることを母親は把握できていない』状況が示唆されます。
  •     
  • •子どもが、親に対してはっきり悩みを打ち明けることは少ないもの。お子さんに『ニキビ』がある場合、ちょっと一言、声をかけるだけでも違います。
  •  
  • •『お母さんの理解』が子どもの『ニキビ』と『いじめ』を解決するために大切です。
 

 最近の『いじめ』は、メールやスマホなど情報通信の多様化に経済状況の悪化なども加わり、複雑化しているようです。
 あまり怒られた経験がなく『ガラスのハート』などといわれ、子どもの精神的なもろさを指摘する専門家も多いです。

 私が以前、外来で経験したA君の例は、『ニキビ』と『いじめ』が関係し、『表面化した珍しい例』かもしれませんが、非常に衝撃を受けました。

 次回も、『ニキビ』と『いじめ』について、もう少し考えたいと思います。

 それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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