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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2017年3月20日配信)

第151回 『「アクネ菌」が「皮膚の病気」を予防する可能性 〜今はつらくとも、未来はきっと明るい!〜 』

#お時間のない読者の方は[今回のポイント]だけでもお読み下さい#

こんにちは。
とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

『ジュエリーアイス』。

今年の冬に地元の十勝ばかりか、
米紙『ニューヨークタイムズ』でも取り上げられ
世界的に話題になった現象です。

十勝の豊頃町大津海岸に打ち上げられる氷の塊が『ジュエリーアイス』。

帯広で英語学校を経営する豊頃町出身の浦島久さんが、
2012年に名付け、『宝石のように輝く氷』として広まりました。

『ニューヨークタイムズ』には、
1月30日付電子版と31日付本誌の科学欄に掲載され、
『ダイヤモンドのように輝く氷が日本の海岸に打ち寄せる』
という見出しで紹介されました。

『この種の川の氷を見つけられる唯一の場所かもしれない』
とする米国の学者の話も掲載され、国際的な価値が高まりました。

最近では、シンガポールや台湾、マレーシアなどから観光客も訪れ、
SNSなどでも拡散されているそうです。

https://twitter.com/hashtag/ジュエリーアイス をご覧下さい。)

地元では『川を下った氷が海岸にまた打ち上がっているな。しばれるね〜』
位にしか思われていなかったこの現象。

見る人がみると違った世界が広がっていくものなのですね。

そうそう。
『視点』を変えてものごとを捉えることは大切ですね。

『治療しても、ニキビが全然よくならない』
と言われる患者さんが時々いらっしゃいます。
でも、実際には、新しいニキビができなくなったり、
気にしている部分以外のニキビは消失していたりします。

『視点』を変えることにより
新たな発見が生まれ、気持ちもリフレッシュして
『ニキビ改善』につながります。

『ニキビ改善』は一筋縄ではいかないことも多いです。
このメルマガが、月に1度必ず届く、

『 26年の皮膚科外来診療で得られた経験をもとに
  規則正しい生活、精神の安定、お肌の保湿などの
 「ニキビ改善」に重要な良い刺激となる情報を数多く提供。
 「視点」を変え新たな気持ちで「継続」してチャレンジする
  うちに「ニキビ改善」への道が開ける定期便 』

になれば幸いです。

ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、
根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。

このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、
自分自身が一歩でも前に進むつもりで、
毎月お届けさせていただいています。

とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を
毎月発行しております。

そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せて
います。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

これは私が皮膚科診療を26年やってきた中で非常に重要と思い標語に
したものです。

ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。

このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて
解説してきました。

第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を
『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連した
こと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )
にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

(バックナンバーは
  https://www.tokachi-media.com/content/column をご覧下さい。)

前回は、『疲れをリセットし、心地よく目覚める睡眠のコツ』
を会得して『ニキビ改善』につなげる方法をお話させていただきました。

今回は、『アクネ菌がつくる蛋白で皮膚の病気を予防できる可能性がある』
というトピックについてお話させていただきます。
(ケアネットニュース 2016年12月12日号
 https://www.carenet.com/news/general/hdn/43057 
 よりの引用です。)

『アクネ菌(Propionibacterium acnes)』は
ニキビ患者で最初に発見された常在菌です。

常在菌は、普段から人間の身体に住み着いている細菌です。
『アクネ菌』も腸内環境を整える腸内細菌と同じように、
すべての人の皮膚に住み着いており、何も特別な細菌ではありません。

『ニキビ』とこの『アクネ菌』との関係。
『アクネ菌』が『ニキビ』を引き起こすかどうか、
実はまだ解明されていないことも多いそうです。

最も一般的な皮膚の常在細菌である『アクネ菌』。

最近の研究で、この『アクネ菌』がつくる蛋白により、
いくつかの皮膚の病気を予防できる可能性があることが発表されました。

スウェーデン、ルンド大学臨床科学部のRolf Lood氏ら
の研究で示唆されたものです。

Lood氏らの報告によれば、
『アクネ菌』は『RoxP』と呼ばれる蛋白を分泌。
この蛋白がいくつかの皮膚病に対して防御効果をもつとのことです。

  『「RoxP」は
    活性酸素種によって引き起こされる酸化ストレスによる
    皮膚細胞の損傷を防御する 』
というメカニズムだそうです。

簡単にいうと、
 『 「アクネ菌」が分泌する物質「RoxP」が、
   酸化ストレスで損傷される皮膚細胞を防御する 』

更にかみ砕いていうと、
 『「アクネ菌」は、
   皮膚を守る多くのメカニズムの一つを担当している 』
という訳です。

『アクネ菌』は皮膚の病気のある人にもない人にもみられますが、
細菌量が異なり、『RoxP』の産生量が異なる可能性があるそうです。

太陽の紫外線は皮膚の酸化ストレスの一般的な原因で、
酸化ストレスは湿疹、乾癬、皮膚がんなどの皮膚の病気の一因
と考えられています。

『RoxP』の保護効果は、
ビタミンC、Eなどの抗酸化物質と同程度に強いそうです。

Lood氏は、
『この蛋白は、この細菌が皮膚で生きていくうえで重要である。
 アクネ菌は「RoxP」を分泌することで自らの生活環境を改善し、
 それによってわれわれも恩恵を受ける』
と述べています。

将来的に『RoxP』は、
身近なところでは、日焼け止めに応用されたり、
皮膚科の病気では、乾癬、アトピー性皮膚炎の治療薬の開発
につながる可能性があります。

第148回のコラムでは、
『思春期にニキビがあった人は、ニキビのなかった人に比べて
 皮膚の老化が緩やかである可能性がある』
というお話をさせていただきました。

『 若いころニキビに悩まされた人は、
  白血球のテロメア
  (染色体の末端を保護するDNAのキャップ構造)
  が長い可能性があり、

  そのため、
  細胞の老化が遅くなることにつながり若々しい肌を保つ傾向
  があるのではないか 』

というものでした。

『テロメア』のお話に続いて、今回の『RoxP』の皮膚の保護作用。

 『 「ニキビ」はうまくつきあっていくことで、
    皮膚を紫外線などから保護してくれる可能性があり、
    年をとってからも若い肌を維持できる       』

という利点があるという訳です。

『ニキビ』の良い面を明らかにするgood news が続いています。

『ニキビ』でお悩みの方。

今はつらくとも、未来はきっと明るいと信じましょう。

[今回のポイント]は以下の通りです。

 
      

【今回の4決め!落ち穂拾い】

   

『「アクネ菌」が「皮膚の病気」を予防する可能性
      〜今はつらくとも、未来はきっと明るい!〜 』

  • ■ 『アクネ菌がつくる蛋白で皮膚の病気を予防できる可能性がある』
      というトピックについてお話させていただきます。
     (ケアネットニュース 2016年12月12日号
      https://www.carenet.com/news/general/hdn/43057
      よりの引用です。)
  • ■ 『アクネ菌(Propionibacterium acnes)』は
      ニキビ患者で最初に発見された常在菌。
  • ■ 最近の研究で、この『アクネ菌』がつくる蛋白『RoxP』により、
     乾癬、アトピー性皮膚炎などの皮膚病を予防できる可能性が発表
     されました。
  • ■『アクネ菌』は、
      皮膚を守る多くのメカニズムの一つを担当しています。
  • ■ 将来的に『RoxP』は、日焼け止めに応用されたり、
     皮膚科の病気では、乾癬、アトピー性皮膚炎の治療薬の開発
     につながる可能性があります。
  • ■ 第148回のコラムでとりあげた、
     『 若いころニキビに悩まされた人は、
       白血球のテロメアが長い可能性があり、
       細胞の老化が遅くなることにつながり若々しい肌を保つ傾向
       があるのではないか 』
     というgood news に続いて、今回の『RoxP』の皮膚の保護作用。
  • ■ 『 「ニキビ」はうまくつきあっていくことで、
        皮膚を紫外線などから保護してくれる可能性があり、
        年をとってからも若い肌を維持できる       』
     と言っても良いでしょう。
  • ■『ニキビ』で悩んでいる方に、good newsが続いています。
      今はつらくとも、未来はきっと明るいと信じましょう。

☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆「落ち穂 その135」彡☆彡☆彡☆彡☆彡

春の柔らかな日差しがまぶしくなってきましたね。

今年の冬。
十勝地方はマイナス20度超の低温が連日続き、
久しぶりの厳しい冬となりました。

『ジュエリーアイス』の写真展がJR帯広駅で開かれ、
札幌への出張の帰りに、私も見学させていただきました。

自然が織りなす、氷の世界は神秘的で美しいものでした。

つくづく『ツイている!』生きていて良かったと思いました。

次回もよろしくお願いします。

それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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